売れない営業は「特長」を語り、売れる営業は「利点」を語る

セールストークの例を挙げましょう。工場などで使われている、機械パーツを販売するケースを想定します。売れない営業パーソンは、初めての商談で次のように話します。

「わが社の商品は、このような機能があって、優れた点はこの点です。価格はこのくらいです。同業他社の販売価格と比較して、100円ほど安く提供できます」

このトークの悪い点は、ただ商品の「特長」を話しているにすぎないこと。興味がない人からすると「そうですか」という感想しか抱けず、実に眠たくなる話で、これでは受注につながらないに決まっています。売れない営業パーソンの主語は、いつも「私たち」。私たちの会社、私たちの商品、私たちの商品の機能、私たちの商品の特長……こういったことを延々と話しますが、お客様からすれば興味ありません。

一方、売れる営業パーソンは初手から「利点」を語ります。

「この商品の機能は御社のこの作業のこの工程においてこのように役立ちます。それによって生産性がこのように上がります」という話をします。

お客様にとって、どのようなメリットがあるかということが明確に語られています。売れる営業パーソンの商談は常に「お客様」が主語です。よく「お客様目線に立ちなさい」と言うでしょう? お客様目線で話すということはつまり、どのような変化が商品によってもたらされ、どのような利点があるかをお客様を、主語にして語るということです。どんないいことがあるかが、お客様にもわかりやすいので、「それいいね」と受注につながります。

「特長」を「利点」に変換するためのコツがあります。商品の特長に対し、「だから何?」を自問自答するのです。常に「お客様から『だから何?』と聞かれている」と想像しながら、トークを組み立てれば、おのずと利点が洗い出せます。

たとえば「自動プレゼン資料出力機能があります」と言ったとすると、これは特長の説明。そこで「だから何?」と聞かれたと考える。その答えは、「見栄えのいい資料を自動で出力できて、従業員様の手間を取る時間が60分削減できます。これがコスト削減につながります」となる。これは利点です。そんなふうに、商品が相手の価値につながっている、利点につながっているという仕組みを言語化していけばいいのです。

営業トークは「自社視点」ではなく「お客様視点」の言葉に置き換える