良い言い訳の好例は「ベンチマークと比べる」

あと、良い言い訳としては、「ベンチマーク(※)と比べる」があります。

※運用の目安となる指標のことで、日本株での運用であれば、日経平均株価や東証株価指数などが挙げられる。

たとえば、日本株で運用していて、その運用成績が▲10%だったとしましょう。

このマイナスリターンとなった数字だけを見れば、気持ちも凹むかもしれません、

しかし、もしも、同じ期間の日経平均株価や東証株価指数のリターンが▲20%であったなら、▲10%であっても、これは十分に健闘していると言えるわけです。

この場合、「運用成績はマイナスだけど、平均は上回っているから、これは良し」と捉えることができます。

この言い訳によって、運用成績自体は振るわなくても、自信を失うことがなく、心理的なダメージを避けることができるのであれば、これは大いに意味のあることです。

もし、ベンチマークを上回っているような状況であれば、ぜひとも意識しておきたいところですね。

実際、投資の世界では、運用成績はベンチマークと比べて判断するものです。

また、ベンチマークと比べることで、相場全体の状況を把握することができ、冷静な投資判断ができるというメリットもあります。

損していてもポジティブになれる「都合の良い」解釈

ところで、自身の運用成績が+10%でも、そのベンチマークが+20%であったなら、これは残念ながら「劣った運用成績」となります。

しかし、そこはあえて、「平均は下回っているけど、運用成績がプラスだから、これは良し」と、都合よく解釈してもよいでしょう。

これはかなりご都合主義な、ある意味、自分勝手な解釈かもしれません。

お客様からの資金を預かって運用しているプロがそんなことを言うと怒られそうですが、自己資金で運用している個人であれば、自分さえ納得すれば良いわけです。

そして、自身のメンタルを最優先で考えるのであれば、そんな解釈(言い訳)もアリでしょう。

実際、私自身も、都合よく、そんな解釈(言い訳)をしております。

「悪い言い訳」は、思考停止に陥り詐欺を呼び込む

一方で、悪い言い訳とは、「あのファイナンシャル・プランナーが勧めていた銘柄なのに……」「あの雑誌には、日本株はまだ上がると書いていたのに……」などと、人のせいにすることです。

暗い表情の女性
写真=iStock.com/maruco
※写真はイメージです

たしかに、人のせいにしてしまえば楽ですし、そして、自身が失敗したわけではないと、プライドは守られるのかもしれません。

しかし、人のせいにすることは、人任せにすることなので、それは思考停止につながります。

それゆえ、いつも「人のお勧め」「雑誌の予想」のままに投資をして、それで失敗すれば、いつも人のせいにする言い訳をするようになってしまいます。

それがひどくなれば、「○○に騙された!」と、メンタル面でのダメージも深刻です。

そして何より怖いのは、人のせいにする言い訳に慣れてしまうと、すべてが人任せの思考となってしまうことです。

これは投資詐欺に引っかかる典型的な思考でして、非常に危険なのです。

実際、詐欺師は、そのような人を狙ってきますし、本当に「騙された」となってしまう危険性が高いのです。