吉田恵里香の脚本は「生きづらい人の声をドラマで代弁」
――いまも身近に起こっているエピソードが「虎に翼」には詰まっています。
本当に脚本家さん、上手よね。吉田恵里香さん、すごいわねぇ。メッセージ、社会性、政治性、現代性、それらとエンタメが両立してるでしょう、「虎に翼」は。
それでうれしくなっちゃって、こないだ「やっと日本にも韓国ドラマみたいな面白いのが出てきた!」なんて言っちゃったら、その場にいた人に「福島さん、それは違いますよ。日本のドラマだって昔は『白い巨塔』とか名作ぞろいで、すごかったんですよ!」って叱られちゃったんです(笑)。
――韓国ドラマ、どんなものをご覧になるんですか?
王朝ものはだいたい全部見てますね。例えば、昼間に国会でどんなに論戦があって疲れて帰っても、家で「イ・サン」(2007年)を観ていたら、まあ宮廷みたいに毒殺まではされないんだから、よし、がんばろう! って元気が出てくるんですよ。あははは。
「マイ・ディア・ミスター 私のおじさん」(2018年)なんかもよかったですよ。人を想う心が丁寧に描かれていて――。だからこそ主人公を演じたイ・ソンギュンさんが、「パラサイト 半地下の家族」(2019年)で名声を手にしながら自死されて、本当に残念で……。
それからNetflixのドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」(2022年)なんかはASDの生きづらさを描いていますよね。特性のある人がどう社会で生きるか、輝くか。いま社会で問題になっていること、歴史や弾圧、それらとエンターテインメントを両立させている。
モデルとなった三淵嘉子は、地獄の中をつき進んだ人
――たしかに韓国ドラマには、見た後に考えさせられるような社会性のある作品が多いですね。
そういった韓国ドラマに感じていた目配り、社会性がね、「虎に翼」にはすべて詰めこまれてる! なによりテンポがいい。このテンポ感も、久しく日本のドラマから失われていたんじゃないですか? だからこの朝ドラから、いろんなことが変わっていくかもしれませんよね。
毎週毎週、緩急をつけてね。笑わせて、涙させて。序盤の女子部のシスターフッドも、寅子の新婚生活も、もうちょっと観たかったな、なんて思ったけれど、どんどん先に進んでいく。