市場全体の暴落が起きたときにやってはいけない3つの行動

過去の暴落からどれくらいの期間で回復したのかを知っておくと、冷静に対処しやすくなります。

過去に発生した暴落からの回復期間を見るとおよそ1〜3年、長くても5〜6年となっています。最近は暴落が起こると、政府・中央銀行から緩和策が機動的に実行されているのもあり、回復までの期間が短くなっている点にも注目です。もちろん、必ず半年・1年で回復すると決まっているわけではありませんが、回復には3〜5年くらいかかることを押さえておきましょう。

【図表】米国株(S&P500)の暴落から回復するまでの期間
出典=『マンガと図解 50歳からの新NISA×高配当株投資』(頼藤太希、高山一恵)より

暴落があったときにもっともやってはいけないことは、慌てて売ることです。値下がりしたタイミングで売却すると、その時点で利益(または損失)が確定してしまいます。同様に、積み立てをやめたり、積立金額を減らしたりするのも避けましょう。

暴落から回復し、その後の値上がりによる資産増の恩恵が受けられなくなります。

暴落は「ピンチ」ではなく、「チャンス」に変えるという発想が重要です。定期的に一定額ずつ株や投資信託の購入を続ければ、暴落は安く購入できるチャンスです。

ただ、その暴落が市場全体で起きているのではなく、個別要因で起こっているならば、理由を見定める必要はあります。株であれば、業績不振・増配停止・減配(配当の金額を減らすこと)などを発表した場合は、見切りをつけて売った方がいいでしょう。

ノートパソコンの前でストレスを感じ、手で顔を覆っている女性
写真=iStock.com/kieferpix
※写真はイメージです

過去データでは、「15年」以上の継続保有で元本割れなし

暴落期間を乗り越えて、元本割れせずに資産を増やしたいなら「15年以上」の継続投資が一つの目安になります。

投資の名著とされる『ウォール街のランダム・ウォーカー』(バートン・マルキール著/日本経済新聞)では、1950年〜2020年の期間において、広く分散された株価指数の一例として「S&P500」に15年以上投資を継続することで元本割れしないという分析結果が紹介されています。あくまで一例としてS&P500が紹介されているだけですので、全世界株価指数などでも同様の結果になるでしょう。

【図表】S&P500の投資期間と年平均リターンの散らばり方(1950年〜2020年)
出典=『マンガと図解 50歳からの新NISA×高配当株投資』(頼藤太希、高山一恵)より

金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」および「NISA早わかりガイドブック」でも、1985年以降の期間で積立・分散投資を20年続けると、元本割れしないという分析結果が公表されています。

これらは、あくまでも過去のデータであり、将来の投資成果を予想・保証するものではありませんが、途中で暴落があっても15年以上継続して投資を続けることで、元本割れせずに資産を増やせる可能性は高いと言えそうです。