「伝える」以外のコミュニケーション
下の10個のサークル(図表1)を見てください。
先ほど紹介したように、「伝える」以外にも9個ものコミュニケーションが存在します。
本項目のテーマ「9割捨てて、1割話す」が言いたいことは、「話したい気持ちを9割捨てて、話すのは1割くらいの感覚で臨んだほうが、相手の話をしっかり受けとめることができる」ということ。
「何を話そう」から発想すると、あれもこれも話そうとして、どうしても足し算のコミュニケーションになります。
20代の頃の私の営業はまさにそうでした。
コミュニケーションはむしろ引き算で考えたほうが上手くいきます。
いかに自分が話す時間を減らし、相手に話してもらうかです。
これを意識すると相手のことが本当によく見えてきます。
忘れないでほしいのは、人は自分のことをよく見てくれている人を信頼するということ。
人の心を熱くするアクティブな会話は、話したいことを捨てる勇気からはじまるのです。
コミュニケーションでもっとも大事なこと
当スクールには女性の講師が多く、よく婚活中の男性の指導をさせていただくことがあります。そこでデートにおけるエスコートの質問をよく受けます。
例えば「エレベーターでの女性へのエスコートの仕方は?」などです。
正解は「ドアが開いたら先に女性に乗ってもらい、男性は操作盤の前に立つ。階数に到着したら、先に女性に降りてもらい、あとから自分が出る」です。
では、お店の入り口で「どうぞ」と言ってドアを開けるのはエスコートでしょうか? 椅子を引いてあげるのはどうでしょう? これ、外国人のようにスマートならいいかもしれませんが、中には「やりすぎ」と感じる方もいるようです。
歩いているときにバッグを持ってあげるのはどうでしょうか?
これも状況によりますよね。普段の講座ではここで気づく人が多いです。
「大切なことはエスコートの仕方を暗記することより、相手にとってのベストを考えることだ」と。そう、相手の立場に立って思考する力です。
コミュニケーションにおいて、もっとも大事な力だといっても過言ではありません。