――別荘は買うけれど、クルマは持っていない、という利用者もいるのでしょうか。

はい。SANU 2nd Homeでは利用者の約4割がカーシェアやレンタカーを使って各地の拠点に通っています。都市部で生活していれば、自家用車は必ずしも必要ありません。合理的な選択肢として、クルマよりも別荘、ということになるのだと思います。

利用者は30~40代が中心です。これまで別荘のマーケットは、資産や所得の多い50~60代をターゲットにしていましたが、SANUの年齢層はもっと下です。この世代は、すごく余裕があるというわけではないですが、自分たちの求めるライフスタイルのためにはある程度の支出は許容するという傾向があるように思います。

高級別荘は競合にならない

――共有オーナー型の別荘では、東急ハーヴェストクラブやリゾートトラスト(「エクシブ」「ベイコート倶楽部」など)といった大手がいます。競合にはならないのですか?

比較していただければわかりますが、そうした大手に比べると330万円はかなりリーズナブルです。大手は「いかにラグジュアリーか」という点で勝負されています。だから価格も高いですし、顧客もリッチなシニア層が中心になります。

そうした施設は建物も設備も豪華で利便性が高く、食事も併設の高級レストランで優雅に取れます。一方、SANUでは、ラグジュアリーな雰囲気よりオーガニックな雰囲気を提供しています。高級レストランでの食事より、家族で楽しく料理をしたい、という人たちをターゲットにしています。

――今まではそうした人たちのニーズに応える滞在先がなかったと。

だからSANUが選ばれているんだと思います。また、今の30~40代には、テレワークで仕事している人や飛行機でのアクセスに慣れている人も少なくありません。そうした人たちの中には、従来のいわゆる「バカンス」とは違う、もっと軽やかな余暇の過ごし方を望んでいる人もいます。

別荘で仕事をする女性
写真提供=SANU