「カジュアル休職」のリスクを知ってもらう

最後に気軽な休職=カジュアル休職を減らすために、企業ができることを解説します。

①休職することによる影響の情報提供をする

先に述べたとおり、安易な休職は社員本人にとっても企業にとっても、何のメリットもありません。休職の目的とメリット・デメリットについて、社員と企業双方のヘルスリテラシーを向上させるよう、情報提供や学びの機会を設けましょう。

社員側の影響としては、キャリアの断絶、休職に伴う収入の減少があります。特に後者の収入の減少については、多くの社員さんが知らないまま休職を申し出ているようです。

ほとんどの企業において、私傷病休職は無給扱いであり、傷病手当金を申請して生活費を賄うことになります。傷病手当金は、療養のため4日以上働けなくなった場合に、従業員が加入している健康保険から支給されるお金です。

なお、主治医による休職判断(=ドクターストップ)が下されていないのに、会社都合による休職を命じた場合やパワハラなど原因が会社にある場合には、支払いの妥当性が否認されるケースもある点に留意が必要です。

貯蓄コンセプト
写真=iStock.com/MicroStockHub
※写真はイメージです

周りの従業員のモチベーションを奪ってはいけない

②復職のハードルを(少しだけ)上げる

カジュアルな休職を申し出てくる従業員が多い場合は、復職のハードルを少しだけ上げる、などの「仕組み作り」も必要でしょう。例えば、職場復帰前に社外のリワークプログラムや会社独自の通勤訓練への参加を要請し、勤怠や取り組み状況を見た上で復職の可否を総合的に判断する、などをルール化すれば、安易な休職や気楽な復職も徐々に減ってくるでしょう。

さて御社は、コンプライアンスを重視しすぎて組織と個人の成長を止めていないでしょうか。カジュアル休職を黙認して、周りの従業員のモチベーションを奪っていないでしょうか。

企業の人事担当者の皆様には、毅然とした態度で企業カルチャー変革を行い、安易な休職がもたらす社会全体の損失を減らしていただきたいと考えます。

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