月7280円から。音楽だけでは元とれず

7月11日に世界21カ国で発売されたアップル・iPhone 3G(以下 iPhone)。最初の3日間で世界累計100万台を売り上げたほどの熱狂ぶり。日本でも完売店が相次ぎ、現在まで数週間にわたって品薄状態が続いている。

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「iPhone」とライバル商品、用途別に2年間かかる費用を徹底比較!

iPhoneを所有する場合、ソフトバンク「ホワイトプラン」(サービス内容は次ページ参照)の基本料金980円、「パケット定額フル」(メールの送受信やインターネットの閲覧が定額となるサービス)の料金が5985円、さらにインターネット接続基本料として315円の7280円が毎月、最低でも必要になってくる。しかも、端末の購入費用がさらに上乗せされてしまう(24回の分割払いの場合、容量が8GBで月額960円、16GBで月額1440円)。

この金額を払っても、ビジネスマンは得することができるのか。iPhoneの機能を紹介しながら、解説しよう。

iPhoneの最大の特徴は、高速通信が可能で、いつでもどこでもパソコンの環境を持ち運べる点にある。PC向けのホームページを表示することもでき、3.5インチのタッチパネルによって、自分が見たいところを指で押せばそこが拡大表示される。日本の携帯電話でPC向けのホームページを見ようとすると、描画が遅くイライラさせられるが、iPhoneならば比較的快適だ。

PC用のメールも送受信でき、マイクロソフトの「Word」や「Excel」で作成されたファイルも閲覧できるなど、iPhoneは「電話機能を搭載した小さいサイズのPC」といえる。また、付属のケーブルを使ってPCに接続すれば、「Outlook」などのスケジュール管理ソフトと同期をとることもできる。PCに登録しているアドレス帳やスケジュール情報を瞬時にiPhoneへ移すことも可能だ。「外出先や出張先でメールを送受信したりネットで情報収集をしたいが、ノートPCを持ち歩くのは億劫」という人には最高に便利なデバイスだといえよう。

半面、日本製の携帯電話が得意とする絵文字やワンセグ、おサイフケータイなどの機能には一切対応していない。すでにこのようなサービスを活用している人ならば、いまの携帯電話をiPhoneに機種変更するというのはお勧めしない。

また、iPhoneのバッテリー寿命は心許なく、仕事のメーン電話機として使うには、やや頼りない。文字入力も、タッチパネルに「慣れる」必要がある。お金に余裕があるならば、通話端末として使うのは既存の携帯電話にしておき、iPhoneは情報収集や管理ツールとして所有するという「2台持ち」が賢明だ。

iPhoneを「携帯音楽プレーヤーを搭載した電話機」だと思って購入してしまっては損をする。音楽プレーヤーとしての価値を見いだしたいだけなら、使い勝手やバッテリーの面からも電話機とiPodを別々に持っていたほうがいいだろう。

(ライヴ・アート=図版作成)