中途解約すると元本割れの危険性も
子どもが生まれたら「こども保険」(学資保険)。そんなフレーズがあるほど、子どものためにこども保険に入ることを当然のように考える人は多い。 「こども保険」は、子どもが一定の年齢に達したときに満期金が受け取れる、教育資金づくりを目的とした保険商品である。ほとんどの商品では17歳か18歳時に満期金がおりるが、商品によっては中学、高校入学時に祝い金が受け取れるタイプもある。 「保険」であることが大きなポイントで、貯蓄などは苦手でも保険料ならやめるわけにいかないから払い続ける、という人は少なくない。そういった人には、半ば強制的に教育資金が準備できる点で価値は高い。また教育費のために貯蓄をしていても、急な出費や住宅購入時に、つい手をつけてしまうというのもありがちなパターンで、こども保険ならその他の目的に流用してしまう失敗も防げる。
だが、じっくり検討すべきはその利殖性。保険料を決めるベースとなる予定利率が低いときに加入すると、その分、保険料は高くなり、利殖性が低くなる。高利率時に加入すれば有利だが、低利率時に加入するほど利殖性が低くなり、契約期間中に金利上昇などで魅力のある金融商品が出てきても、中途解約すれば元本割れする危険性があるため、路線変更はしにくい。なかには、満期まで続けても元本割れするケースがある。払込保険料の合計と受取額(祝い金、満期金の合計)を計算し、元本割れするようなら、中途解約して、ほかの方法を考えてもいいだろう。
また「こども保険」には契約者が死亡するとその後の保険料が免除され、保障は継続されるといった保険機能があるものの、保険料に保険コストが上乗せされている。子どもの入院給付金などを付加できる商品もあるが、利殖を追求するなら余計な保障をつけないことも重要だ。
現在の予定利率では納得できないなら、一般的な金融商品にする方法もある。手間をかけずに確実に貯めるなら、給与天引きの財形住宅貯蓄(住宅以外の目的で引き出しても5年経過分の利息は非課税扱い)や、銀行の自動積立定期、信用金庫の定期積金などが候補。
ある程度金額がまとまったら、ネット定期や宝くじ付定期など、利回りがいい、もしくは特典のある商品に預け替えると効率的だ。また個人向け国債も選択肢に。月3万円積み立てられるのなら、そのうち1万円はリスクをとって大きく増やす作戦で、日本株のインデックスファンドなど投資信託を積み立て購入するという考え方もある。
重要なことは、着実に貯め、流用をしないとの強い意志があること、また効率的に増やすにはある程度の手間がかかることも念頭におきたい。確実に準備することが最重要課題なのだ。