InstagramやFacebookで著名人になりすまして投資などを呼びかける詐欺広告が出回り、被害が出ている。成蹊大学客員教授の高橋暁子さんは「運営するメタ社は、徹底的に詐欺広告を排除する義務があるのに、それを果たしていない。本格的な対応が進むまでは一人ひとりが自衛するしかない」という――。
SNS型投資詐欺の被害額は約278億円
ZOZO創業者の前澤友作氏が、InstagramやFacebookを運営する米メタ社を提訴すると表明して話題になっている。自身を含めた著名人を騙る詐欺広告被害がFacebookとInstagram上で多発しているにも関わらず、対処が進まないことを訴えたものだ。同時に、自民党にも規制強化を求めている。
詐欺広告のほとんどは著名人を騙り、「儲かる話を無料で教える」としてLINEグループに誘導する。LINEグループでやり取りするうちに、投資名目でお金を騙し取られてしまうパターンがほとんどだ。その大半はFacebookとInstagramに集中している。
警察庁の発表によると、2023年におけるSNS型投資詐欺の被害は2271件、被害額は約278億円に上るという。
「テレビにも出ている有名な人だから信じた」
「テレビにも出ている有名な人の広告だし、信じてしまった」と、被害に遭った50代女性はがっくりと肩を落とす。「いつもやり取りしている友だちの投稿の中に表示されていたし、嘘なんて思いもしなかった。堂々と出ているし、広告なのに嘘のはずがないって」
この女性も、Instagramの広告経由でLINEグループに招待されたが、参加者はみんな熱心で活気があったという。「おかげさまで儲かりました、ありがとうございます」という投稿も多く、信用できると考えた。
グループの主催者ともやり取りしたが、買うべき仮想通貨と買い方まで丁寧に教えてくれた。当初儲かっているように見えたが出金はできず、結局、数百万円の貯金を失ってしまったそうだ。