調査報告書が公開されて以降、ペットオークション業界は「違法行為を黙認した」と批判に晒されている。そこでペットオークション会社15社を束ねる一般社団法人ペットパーク流通協会の会長、上原勝三氏はこう語る。

「ブリーダーに対してきちんと自主規制が徹底できなかった。オークション協会の会長として悪いのは自分だ。今では違法な業界団体、詐欺の業界と言われている。このままではダメだ。みんなでやろうと働きかけ頑張ってきたんだが、ブリーダーも業界も足並みが揃わない」

ペットオークションを行う多くの会場は週1回開催され、動物取扱業の登録業者であるブリーダーが犬や猫を出品し、バイヤーが競り落とす。大きな会場では1日で1000匹近くが取引されることもあり、小型から大型まで種類も様々だ。ここ数年は血統書こそ出ないがミックスが人気で、出品数も多いという。

犬たちの鳴き声が響き、混雑するイベント会場

会場の雰囲気は雑然としており、人で混雑するイベント会場のよう。中に入ると犬たちの鳴き声が響く。

出品予定の子犬や子猫は会場入口で、まずパルボウィルスのチェックを受ける。パルボは死亡率が高いといわれる感染症だ。

陰性であれば、獣医師によってマイクロチップが装着される。装着はほんの数秒で終わり、子犬も子猫もおとなしく暴れる子はいない。ブリーダーが自分が連れてきた犬猫を触れるのはここまで。

そこから犬猫は、いくつも穴が開いた白い段ボールボックスに入れられ、別の獣医師らが待つバックヤードに移される。白いボックスは横に穴の開いた大きめのケーキの箱を想像してもらうといいだろう。ずらりと並ぶボックスからは、子犬や子猫のかぼそい鳴き声が漏れてくる。それがいくつも積み上げられ運ばれていく様子は物流現場のようで、いたたまれない気持ちになる。