特定の科目で体調不良になる小4女子

こうした「ネガティブな自分を認められない」という特徴があったとしても、学校をはじめとした社会的な場にある程度は適応して留まることができているのであれば、それほど問題視する必要はないかもしれません。ですが、この特徴が発端となって不登校に至る事例が最近は増えてきています。

【事例3:特定の科目で体調不良になる】

小学校四年生の女子。学力は平均的。進級後、ある科目のある単元でつまずき、その科目の前の休み時間に腹痛を訴えることが多くなる。次第に、その科目が時間割にある日の朝に行き渋るようになる。担任が母親にそうした状況を伝えたところ、「本人が嫌がったら休ませてください」という対応を望む。早退が増えるので、遅れのなかった科目や単元にも苦手意識が出てきたり、行事の練習に参加できないことが多くなり、それがまた早退や欠席の理由になってしまっている。

こうした「ネガティブな自分を認められない」ために、その状況を回避していると見立てられる場合には、安易に「ゆっくり休ませる」という方針を選択するのは考えものです。状況を回避するという判断をする場合、その状況は一過性のものだから回避するだけで済むのか、回避することで更なる問題を呼び込むのか、きちんと見立てておくことが重要です。この事例においては、状況を回避した先にあるのは更なる「自分がうまくできない状況」になりますから、早退や欠席が増加するのは当然と言えば当然の結果と考えられます。

科学の実験をしながら眠そうにしている子ども
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「ネガティブな自分を認められない」が不登校の低年齢化の一因に

近年、不登校の低年齢化が指摘されています。

私は不登校の低年齢化の要因の一つとして、この「ネガティブな自分を認められない」という特徴があると予測しています。

小学校一年生のような、新しい社会に参入する場合、すでにお話しした「思い通りにならない状況への拒否感」の強い事例が多く見受けられます。問題はそれにとどまらず、子どもが学校に慣れてきて、勉強が本格的になってくると「勉強がわからない」という場面が出てきます。こうした「勉強がわからない」という状況は、そのまま「ネガティブな自分」に向き合う体験になりますが、この体験への耐性が不十分なまま小学生になった子どもが多くなっているのです。特に、小学校三年生から四年生ごろになると学習内容の質と量が上がるため、学習面の苦手さを感じる子どもが増え、そこから登校の難しさにつながる事例が見受けられます。