関節リウマチも花粉症との共通点
関節リウマチなど、自分の免疫が自分の体のいろいろな臓器を攻撃する自己免疫疾患も花粉症と同じように1970年代から急増しています。というより、1970年代以前はほとんどこれらに悩む人はいませんでした。
自己免疫疾患も抗生物質が腸内フローラを攪乱することによって、起こしている疾患です。自己免疫疾患というと女性に多いという印象を抱く人が多いと思います。すべての自己免疫疾患が女性に多いのではなく、いくつかの疾患が女性に圧倒的に多いのです。
女性に多い自己免疫疾患の関節リウマチは、患者数が60~100万人もいます。関節リウマチは膠原病というIII型アレルギーの一つです。
膠原病には全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群などが含まれ、全体では非常に多くの患者がいる自己免疫疾患です。
関節リウマチは自分の臓器を攻撃する抗体が関節を攻撃します。全身性エリテマトーデスは関節、皮膚、腎臓、肺、中枢神経などさまざまな臓器を攻撃します。膠原病というと皮膚に蝶のような赤い紅斑ができると教わりますが、これが全身性エリテマトーデスの皮膚への攻撃です。
腸内フローラが原因となっている可能性
シェーグレン症候群は自己抗体が唾液腺と涙腺を攻撃します。目が乾き、口が乾く症状を来たします。膠原病は理由は分かりませんが、なぜか、女性に圧倒的に多い病気なのです。女性は、関節リウマチでは男性の4倍、全身性エリテマトーデスでは9倍、シェーグレン症候群ではじつに17倍も多く発症します。
全身性エリテマトーデスの推定患者数は6~7万人、シェーグレン症候群は10~30万人もいます。関節リウマチも含めた膠原病患者は、自己免疫疾患のなかで圧倒的に多いのです。
膠原病には3つの代表的疾患以外にも多くの病態が含まれます。膠原病は全身に存在するコラーゲンを攻撃する疾患で、攻撃する場所が人によって少しずつ異なり、また、少しずつ重なったりしています。たとえば、関節リウマチの人がシェーグレン症候群でもあるなどです。
自己免疫疾患では、神経細胞を囲む髄鞘という部分を攻撃する多発性硬化症も女性に多い(3~4倍多い)疾患です。患者数は約2万人で、1970年代から急激に増加しています。50歳以上の人に発症するパーキンソン病の発症メカニズムはよくわかっていません。自己免疫疾患あるいは腸内フローラが原因となって起こる病気と考えられています。
リン酸化α─シヌクレインというタンパク質が中脳黒質のドーパミン神経細胞に蓄積してドーパミンが不足することによって起こります。このαシヌクレインは腸の神経から迷走神経を伝わって脳に到達するという仮説が有力となっています。パーキンソン病は女性が1.5倍多い疾患です。患者数は推定15~20万人で1970年代から急増しています。