局が採用時に女性アナの容姿を重要視するようになったことで、女性アナの「タレント化」が始まった。つまりタレントとしての価値を持ち始めたのである。そして当然、週刊誌やSNSのターゲットとなる。タレントには事務所やマネージャーがついている。

しかし、女性アナは一般局員なので、事務所にも所属していないし、マネージャーもいない。誰もパパラッチからは守ってくれないし、記事を握りつぶしてもくれない。それが、女性アナが交友関係を暴露されて、派手好きだというイメージがつきやすい理由である。

④の「プロ野球選手や経営者との結婚で、『玉の輿』を狙っている」という批判に関してだが、そんなアナウンサーはほんの一部である。ほとんどの人が普通の結婚をしている。だが、ほんの一例に過ぎなくても目立ってしまうので、多いように感じてしまうのだ。

アナウンサーは自分の時間が限られている。バラエティの収録は基本的にタレント合わせだし、ニュースや報道の現場では「待機」が多く、時間は自分の好きには使えない。そんな狭い世界で生きている女性アナが出会うのは、取材でインタビューをしたスポーツ選手や経営者に絞られてしまうというのも致し方ないことだ。

フリーになっても成功できるとは限らない

⑤の「フリーになりたがり、『カネ』に欲深い」という批判は的外れだ。「フリーになる」のはカネのためではないし、欲深くカネを求めるのであればフリーにはならないだろう。よっぽど売れない限り、高給のテレビ局員の生涯賃金を超えることはない。

元テレ東の森香澄アナは『週刊プレイボーイ』でグラビアや『anan』の表紙を飾ったり、ドラマ「たとえあなたを忘れても」に女優として出演したりして、それを自身のインスタグラムで発表している。

活動の幅を広げていくことを発信しない人がいるだろうか。フリーになるということは、森氏のおこないが示すように「どんな仕事でも貪欲にやらなければならない」ことを意味している。

一方、結婚して配偶者がいる女性アナは、生活面においては余裕があるため、自由でストレスの少ないフリーを選んで挑戦することができる。それが上記のテレ東のベテラン女性アナ3人の共通点となっている理由である。

30~40代女性アナが直面する「人事異動」の恐怖

テレビ局は、いま激動の渦の中にある。地上波の売り上げは下がる一方で歯止めが利かない。総じて、民放各局は「人減らし」に傾いている。正直なところ、女性アナの流出も「仕方がない」と黙認しているのが実情だろう。そんななか、局に在籍している女性アナたちの焦りも相当なものであろうことは、想像に難くない。