※本稿は、プレジデントオンラインアカデミーの連載『ビル・ゲイツも絶賛した伝説のプレゼンターが伝授 人も結果も引き寄せる澤円流ビジネス会話の技術』の第1話を再編集したものです。
聞き手には、「伝わらない」ことを前提に会話する
話が聞き手になかなか伝わらない――これはよくある悩みです。まずお伝えしたいのは、「最初から相手に話が伝わるとは思わない」というマインドセットを持つことの大切さです。伝わらないことを前提にしたうえで、それをいかにしてうまく伝わるようにするかという考え方が、会話には必要なのです。
たとえ気心が知れた相手でも、日によって体調が違えば、気分も違います。あなたと会話する前に、ちょっとした仕事のトラブルに巻き込まれてイライラしているかもしれません。
そんなとき、自分では伝わる話だと思っていても、お互いのあいだに意識のギャップがあるために、相手に話が伝わらないことはよく起こります。相手が話を受け止める余裕がない状態では、何をどう話してもうまく伝わらないのがあたりまえなのです。
そこで、会話をはじめるときは、まず相手に、いま話す余裕があるかどうかを確認することが必要です。話す前に、「いま大丈夫かな?」「いまこの話をしていい?」と、トピックとともに相手のコンディションを必ず確認するようにしましょう。
つまり、ただ「話すこと」を目的にしてはいけないということです。
なぜなら、誰かに話しかけるのは、あくまで自分の都合に過ぎないからです。極端に言うと、相手は「あなたの話を聞くために生まれてきたわけではない」という事実を理解することが大切です。要するに、相手には相手の都合があるということですね。
でも、会話となるとそのことを忘れがちで、「自分の考えを話さなければ」と気持ちが前のめりになってしまう場合がよくあります。しかし、聞き手にはその話を聞かなければいけない理由はないのです。
この一歩目をかけ違えてしまうと、簡単な話でもなかなか伝わりません。僕は、これが「話し方」の大前提だと考えています。