物と情報の流通再構築時代へ

ながらくITは情報の処理を高速化し業務処理を効率するという、工業化社会の効率を高めるための20世紀モデルとしてのIT化が進んできた。しかし、ようやく21世紀も10年以上を過ぎた今日、人と社会や人と企業などのコミュニケーションを最適化するためにも役立つようになってきた。ある意味物と情報が最適に流通することで豊かさを実感できる社会になろうとしている。

これまでの資本主義の工業化社会モデルではお金が流通することで経済が発展する社会であったが、これからは知識情報がどんどん流通、加工、活用することで価値を生み出す社会になる。そうすると現在流通を妨げている仕組みとしての個人情報保護や著作権法などはおのずと改変していく必要があるだろう。イノベーションのヒントもここにある。行政の持つ情報、競合他社が持つ情報、生活者の行動ログなどが繋がってオープンに利用できるようになれば新しいバリューチェーンを生み出せる。

O2OはECとリアル小売りの融合という側面からスタートするが、次のステージでは前回も触れたように情報流通と物流の仕組みの社会システムそのものが変わっていくということになる。アマゾンもまだ進化を続けるだろう。アマゾンそのものが巨大なプラットフォーマーとして顧客のあらゆる行動データを握り、社会システム上不可欠なプレーヤーになっているかもしれない。ひょっとしたらクロネコヤマトもアマゾンに買収される日が来るかも知れない。

かつて2004年頃にグーグルゾンという予言があった。グーグルとアマゾンが合併し2014年に世の中の行動データを握り支配するというものである。確かにあと二年後には近い状況が生まれていても不思議ではない。

来年は「ネットを活用した既存ビジネス」という考え方を経営者が捨てなければいけないステージだと言えるのだろう。かつてモータリゼーションで日本の景色が変わったようにデジタライゼーションは消費スタイルのみならず日本の社会システムを変えていくことになる。その中で本当に競争力のあるビジネス構造にネットもリアルも無く再構築することができるかどうかが5年後に生き残っているかを決めることになるだろう。もしかしたら新しい業態が誕生し、セブンイレブンに変わる小売りの新しい王者だって生まれているのかも知れない。