「山梨県境の調査ボーリング」を巡る意見の相違
たまたま2月25日にJR東海と大井川流域10市町長の意見交換会が開かれ、流域と川勝知事との意見の相違が明らかになった。
意見交換会のあと、染谷絹代・島田市長が「流域の総意」として、現在、山梨県内で進めている「高速長尺先進ボーリング」(調査ボーリング)について、「静岡県境を越えて、特に破砕された脆弱な地層が分布する不確実性の高い地域で、早期に調査ボーリングを実施してほしい」とJR東海に求めたのである。
川勝知事は静岡県境を越える調査ボーリングを認めておらず、流域10市町は国の関与を強く求めていた。
「流域の総意」が示された25日の翌日の会見で、川勝知事は「(調査ボーリングは)水抜き工事であり、(意見交換会で)水の量は一切問わないというふうに言われたと聞いているが、抜かれる水がどのくらいのものになるか知りたいところだ。それはモニタリング委員会に任せる以外ない。この監視をするのがモニタリング委員会でそういう立ち位置になる」などと述べた。
「流域の総意」に対して、川勝知事は率先して、モニタリング委員会の存在を挙げた。
会見では、調査ボーリングが水抜きであり、その量を監視するのがモニタリング委員会の役割として、そのような体制を取るよう求めた。
「調査ボーリング」実施を求める流域10市町長と「調査ボーリング」を認めない川勝知事の主張のどちらが正しいのかわからないまま、調査ボーリングを監視することなどありえない。
会議は国の手腕を示す絶好のチャンス
まず、「調査ボーリング」実施が正しいのかどうかを判断すべきだ。
そうなれば、モニタリング会議の存在価値がはっきりと見えてくる。
これまで国の有識者会議の結論が川勝知事によって否定されてきたが、今回のモニタリング会議はそうはいかない。どのような判断が出ても、川勝知事は否とは言えないだろう。
だから、国の手腕を見せる絶好の機会ともなるはずだ。
「調査ボーリング」実施は、リニア沿線の関心も高く、それもなるべく早い結論が待たれるのだ。
まずはこの具体的な問題を解決するところから、モニタリング会議は手をつけるべきである。