「鉄骨、RC、木造」最もコスパのいい家は?

ライフプランを考えるうえで老後にどれだけお金を残しておくかは重要ですよね。それが初期費用やランニングコストなどマネープランに関わってきますが、鉄骨造、RC構造、木造建築のうち、高性能住宅という条件をつけて比較した場合は、木造建築が最もコスパのよい家といえます。

第4回記事〈「都心の安い家」より「地方の高い家」のほうが絶対に良い…家づくりのプロがそう訴える7つの理由〉で坪単価について解説しましたが、鉄骨造は70~80万円、RC構造は80万円以上、木造は60~70万円を目安と考えてください。

平松明展『住まい大全 ずっと快適な家の選び方、つくり方、暮らし方』(KADOKAWA)
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これは初期費用での坪単価の比較になりますが、ランニングコストやメンテナンスコストを考慮しても木造が最も低い単価になります。

例えば断熱性でいうと鉄骨造は熱伝導性が高いため、冬は寒く、夏は暑いということを避けられません。よってエアコンの稼働率が高くなり、光熱費がとても高くなります。RC構造には鉄骨のほかにコンクリートも使われるので、より蓄熱量が多く、室温を快適にするまでに大きなエネルギーを要します。それを解消するには鉄骨造もRC構造も外断熱という工法が必須ひっすになります。

では木造建築のなにが不都合なのか? わかりやすくいうと木材は鉄骨やコンクリートよりも弱い建材です。よって木造は鉄骨造やRC構造に比べて地震、台風に弱い側面があります。

「燃えやすい」木造のデメリットは解消できる

火災についてはどれが最も安全かは一概にはいえません。木材が一番燃えやすいのは確かですが、鉄骨造の場合は熱で湾曲して倒壊するまでが木造より早いという見解もあります。一方でRC構造は火災にも強いといわれています。

建物自体が重い鉄骨造とRC構造は災害に強く、耐久性の高い住宅です。特にRC構造は優れています。さらに大きな建物をつくることができ、木造ではできないデザインを選択することもできます。例えば2階にせり出した部分をつくるなど、よりこだわった外装デザインにできる住宅ともいえます。資金に余裕があり、デザインにこだわりたい人には最適かもしれません。

ただし、木造建築でもデメリットとされる部分を解消できます。つまり耐久性を高めることができるのです。これが人間の平均寿命を延ばすための要素と似ているのです【図表3】。

実は木造の耐久性を高める方法についてはすでに解説しました。耐震性、断熱性の追求が耐久性を高めることにつながるのです。それぞれ等級が高い家づくりにすれば長持ちします。あとは湿気対策が重要になります。断熱性のところでも出てきたWB工法が湿気を解決してくれます。