お金持ちからもっと税金を集めて教育や貧困問題を解決すればいい

【パックン】だったら得するかもね。僕は政府が資産形成を助けてもいいと思うんですよ。新NISAもその第一歩としてはいいかもしれないけどね。

――高齢者にお金が集中していることを考えると、贈与税などを減らし子ども世代、孫世代に資金を渡しやすくするのはどうですか。

【エミン】それは税制の問題ですね。無税で贈与できる額を増やすとか。

【パックン】僕はフラットな社会がいいと思うので、たとえば1億円以上の資産に対しては相続税をわりと高い設定にしてもいいと思う。僕とエミンさんは損をするかもしれないけど、お金持ちから税金を集めて教育や貧困問題の解決などに使って、よりフラットな社会を目指したほうが最終的に得なんじゃないかなと思うんです。

――格差社会にもメリットはありますか。

【パックン】メリットとデメリットの両方がありますよね。フラット社会のメリットは元気な消費者が多くなることで、物が売れて企業が儲かって税収が増えて、教育や社会福祉がしっかりしてくる。一方、お金持ちにお金が集中するとリスクをとってイノベーションにお金を回すようになるから格差はあったほうがいいと言う人もいるんですね。

フラット社会のデメリットとして、みんなが同じ生活になると、ハングリー精神が薄れるかもしれないと言われます。ただ、ハングリーにさせるために大勢を飢えさせるってことになりますね。日本には十分にハングリーさはあるから、全国民に対する皆保険とか、皆教育とか、制度を強化するためにお金持ちから税金をとってもいいと思う。

「若者が教育を受けられて、子育てがしやすい社会にしてほしい」とパックンさん。
撮影=遠藤素子
「若者が教育を受けられて、子育てがしやすい社会にしてほしい」とパックンさん。

若い世代の生活が苦しいのは金融緩和が原因

――日本は世代間の格差がすごく大きくて若い世代が苦しい状況です。その点はいかがでしょうか。

【エミン】それは日本だけの問題じゃないよ。アメリカでも同じことが起きている。これも結局は金融緩和が原因。ここ15年間はずっとお金を刷っているから、リスク資産を持っていない人たちのお金は、ずっと目減りしている。反対に資産を持っている人は資産インフレで価値が増えているでしょうし、増えていないとしても価値は減っていない。これは日本に限っての話ではなく、どこでも同じことが起きているね。

――その怒りの持って行き場がないですね。

【エミン】怒りの持って行き場がトランプさんだったのかもしれない。それで当選したんじゃない?