大統領選の株価アノマリーは信じないほうがいい

――アメリカの大統領選の前年は株価が上がりやすいと言われ、2023年にNYダウは約14%上がりました。大統領選の年も上がることが多いと聞きますが、どうでしょうか。

【エミン】あまり関係ないと思う。というのは、過去40年間のデータをみると、大統領選挙の年のNYダウの上昇率は約4%。40年間の平均は約9%の上昇だからむしろ平均より低い。オバマさんが大統領に選ばれた2008年にはリーマンショックが起きたし、バイデンさんが選ばれた2020年は、コロナショックが起きました。大統領選の年と株価は関係ないと思う。

【パックン】いい傾向がみられたとしても、僕はそれで勝負しない。過去100年で考えても4年に1度だからサンプル数が25しかない。1000年でサンプル数が250でいい傾向なら信じてもいいかもしれないけどね。

エヌビディア、メタ…超大型株に隠れたバリュー株にチャンス

――今後、アメリカの景気が悪くなると心配する声もありますが、パックンさんはどう考えていますか。

【パックン】アメリカの金利は遠からず下がる見込みだから、それが追い風になるセクターもあるはずです。それに2023年はアップル、マイクロソフト、アルファベット(グーグル)、アマゾン、エヌビディア、メタ、テスラの超大型7銘柄、いわゆる「マグニフィセント・セブン」の株価がとんでもないリターンを見せました。ちょっと上がり過ぎだと思う。この7銘柄だけでS&P500の時価総額の3割以上を占めているからね。

ただ、その陰に隠れているバリュー株(割安株)はたくさんあるから、今後はそうした企業の業績が伸びると期待しています。2024年のアメリカの景気はあまり失速しないと思っています。

「アメリカの金利が下がれば、追い風になるセクターもあると思う」とパックンさん。
撮影=遠藤素子
「アメリカの金利が下がれば、追い風になるセクターもあると思う」とパックンさん。