仕事ができる人の真似をしても成果は出ない。経営コンサルタントの権藤悠さんは「新人の営業社員が自社のトップセールスの真似をしても成果は出ない。それは“鋭い洞察”が欠けているからだ」という――。
※本稿は、権藤悠『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
「ユニークで鋭い洞察」は「抽象化思考力」を鍛えることで得られる
「仕事ができる人」とはどんな人でしょうか。「業務スピードが速い人」でしょうか。「コミュニケーションが上手な人」でしょうか。元デロイトのコンサルタントの権藤氏は違う見解を持ちます。デロイトで3000社1万人以上のビジネスパーソンを見てきて、「仕事ができる人」とは「解像度が高い人」だと考えているといいます。
「解像度の高い人」の特徴の1つ、「ユニークで鋭い洞察を得ている」状態になるためには、どうしたらいいのでしょうか。それが、「『抽象化思考力』を鍛える」になります。
なぜでしょうか? その理由を解き明かすために、「そもそも、抽象化とは何か?」から考えていきましょう。
図表1は「日本」を細かく分解した図です。このピラミッドを上に上がる作業が「抽象化」です(ちなみに、このピラミッドを下に下がる作業が「具体化」です)。
「東京都」→「関東甲信越」→「東日本」→「日本」
例えば、あなたが東京駅にいるとします。東京駅の周辺には丸の内、大手町、有楽町などの「千代田区」と、日本橋、八重洲、京橋などの「中央区」があり、さらに1階層上がれば「23区」、以下「東京都」→「関東甲信越」→「東日本」→「日本」とどんどん範囲が広がっていきます。
軸となっているのは「違うもの同士の共通点を見つける」ということ。「東京都」「埼玉県」「千葉県」の共通点は何でしょうか。それが「関東甲信越」です。
では、「関東甲信越」「東北」「東海」「北海道」の共通点は何でしょうか。それが「東日本」です。では、「東日本」「西日本」の共通点は何でしょうか。それが「日本」です。
さらに、「日本」を抽象化していけば、「東アジア」→「北半球」→「地球」→「太陽系」……といった具合にいくらでも抽象度を上げることも可能です。
共通点を見つけることで上へ上へと思考レベルが上がっていく。こうして、ピラミッドの頂点までを形成していく営みが、抽象化ということになります。