仕事ができる人はどんな思考法をしているのか。経営コンサルタントの権藤悠さんは「例えば、レストランのオーナーが『収益向上』という目標を立てたとする。ここで安易に『電気料金を節約しよう』と結論づけるのは失敗のもとだ」という――。

※本稿は、権藤悠『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

モダンスタイルのレストラン
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「具体化思考力」を鍛えると物事が細かく見える

近年、「解像度」という言葉がビジネスシーンで使われるようになった。「解像度が高い」とは、思考が鮮明な状態。物事が細かく、広く「見えている」のが特徴だ。では、「解像度が高い・低い」とは具体的にどういうことなのか。

「解像度の高い人」にはいくつか特徴があります。そのうちの一つが「物事が細かく見えている」状態。では、その状態になるためには、どうしたらいいのでしょうか。それが、「『具体化思考力』を鍛える」になります。

なぜでしょうか? その理由を解き明かすために、「そもそも、具体化とは何か?」から考えていきましょう。

「具体化」とはその名の通り、「具体的にすること」ですが、もう少し具体的に言うと、

「一つの事柄や概念を、違うもので分ける」

ことになります。

例えば、「生物」を具体化するとしましょう。

生物を具体化するとまず、「動物」「植物」「菌類」……、と分けることができます。さらに、このうち「動物」を具体化すると、「哺乳類」「魚類」「鳥類」……、と分けられます。

さらに、このうち「哺乳類」を具体化すると、「サイ」「ライオン」「ゾウ」……、と分けられ、さらに「サイ」を具体化すると、「クロサイ」「シロサイ」「インドサイ」……、と分けることができます。

このように、ピラミッドを下に下がる作業が「具体化」になります。もう一つ例を挙げると、例えば、「日本」を頂点とするピラミッドを考えてみましょう。

具体化とは「似たもの同士に違いをつける」こと

「日本」を「地理」と捉えて具体化していけば、その1つ下の2階層目は、例えば「東日本」「西日本」に2分割されます。

2つ下の3階層目では、「東日本」を細分化して「関東甲信越」「東北」「東海」「北海道」となり、3つ下の4階層目では「関東甲信越」をさらに細分化して「東京都」「埼玉県」「千葉県」「神奈川県」「群馬県」「栃木県」……などとなり、4つ下の5階層目になると「東京都」は「23区」「26市」「5町」「8村」となり、どんどん細分化されていきます。

すなわち、「具体化する」ということは、一つの非常に大きな概念を、階層化・細分化していくことを意味しています。

このときに、何をしているのでしょうか? それは、「似たもの同士に違いをつける」ということです。

「生物」の中には、「動物」「植物」「菌類」……が含まれます。それらは同じ「生物」の分類に含まれるので「似たもの同士」ではありますが、その中でも少しずつ違いがあります。

この「似ているけれども、違いのあるものを分ける」ということが「具体化」です。