イネ科植物がインドに広がったのはいつか…ウンコの化石から新説

他にも植物食恐竜のウンコ化石からは、植物の進化について知ることができる。インドの竜脚類ティタノサウルス類のものと思われるウンコ化石には、プラント・オパールと呼ばれるシリカが含まれていた。これはイネ科の植物に含まれる鉱物で、ティタノサウルス類がイネ科を消費していたことが判明した。

田中康平『最強の恐竜』(新潮新書)
田中康平『最強の恐竜』(新潮新書)

それまで、イネ科は新生代に放散したと考えられていたが、白亜紀後期の時点でインドに生えていたことが分かる。白亜紀後期当時、インドはひょっこりひょうたん島のような単体の島である。ということは、インドにイネ科が広がったのはまだインドが南半球の大陸と地続きかすぐ近くにあったときだろう。従来の考えよりも、ずっと早くからイネ科の放散は始まっていたのだ。ウンコ化石から、植物の壮大な進化物語が垣間見られる。

ウンコ化石は比較的まだ研究が十分に進んでいない分野である。恐竜の食性や生態、さらには当時の生態系での他の生物との関わりも見えてくる。真面目に言って、とても重要な研究対象である。今後のさらなる研究が期待される。ウンコにはフロンティアが広がっているのだ。

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