手が空くことでマルチタスクが可能になる

音声入力には多くのメリットがあります。まず、音声で文章を生成するため、入力速度は極めて高くなります。

あるベンチャー企業で20代にして役員候補となっている男性は、つねに時間と戦っていました。彼は一日の大半を効率的に使いたいと考えており、そのために音声入力を活用しているそうです。例えば、車で移動中のときでも、スマホの音声入力機能を使ってメールを作成したり、アイディアをメモしたりします。さらには、音声入力を使って、「note」でブログ記事を執筆しているそうです。

WordやグーグルのDocsで音声入力して文章を作成し、ChatGPTへコピーして、文章の校正や漢字の誤変換を修正していました。音声入力は、まだ100%の精度ではありません。音声を正確に聞き取ってくれなかったり、句読点を正しく入力してくれないこともあります。しかし、一流が音声入力を試用する理由は、単に文字の入力時間を短縮するだけでなく、効果を上げる可能性があるからです。

ハンズフリー通信
写真=iStock.com/metamorworks
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音声入力を使うことで、手が自由になり、同時に他の作業を行うことができます。例えば、音声入力でメールを書きながら、データのグラフを確認するといったマルチタスクが可能になります。単に入力時間を短くするだけでなく、より多くの作業を手掛けることが、一流が目指す「More with Less(より多くのことを、より少ない時間で)」を実現するのです。

一流は、音声入力も使う
入力方法を使い分けることで、効果と効率を同時にアップさせる

誤字・脱字のチェックはどう工夫すべきか

文章作成は、多くのビジネスパーソンが避けて通れないタスクです。そして、文章を書くことが苦手なビジネスパーソンはとても多いです。

1.8万人のビジネスパーソンを対象に調査すると、「最も苦手なタスク」で文章を書くことを選択する人は23%もいました。文章作成を苦手にする理由の一つが、「誤字・脱字をした経験」でした。このようなミスを引き起こすのは、「修正することを忘れる」からです。

例えば、1万字の年次報告書を作成する場合、原稿を書き切った時点で満足してしまいます。しかし、誤字や脱字、内容の不整合を十分にチェックせずにいたら、評価されないどころか、信頼を失います。

こうした失敗をした経験があると、文章作成に苦手意識を持ってしまいます。ミスをした経験を踏まえ、文章を書きながら念入りにチェックして修正する人は多いです。これがダメだというわけではありませんが、何行か書くごとに何度も修正を入れると効率は下がります。例えば、レポートを書いている最中、一つひとつのフレーズを何度もチェックしていては、全体の流れや構造に目を向ける時間が削られます。結果として、文章の質が下がってしまうのです。