勉強を継続できないケースがあるとすれば、目的意識が弱いときだ。何のためにその勉強が必要なのか、それを学んで将来自分は何がしたいのか、胸に手をあててじっくり考えてみよう。

「楽」という漢字がある。これを「たの(しい)」と読むか、「らく」と読むか。残念ながら、2つ同時には読めない。つまり、楽なことは楽しくないし、楽しいことは楽ではない。「人生も仕事も楽しく」と思ったら、どちらも「楽」ではないし、「人生も仕事も楽に」と思ったら、どちらも「楽」しくなくなる。

人間は弱い。少ない努力で多くの実入りを求めようとする。しかし世間は甘くない。仕事の楽しさは決して楽な仕事では得られない。それは、知恵を出し体を張って困難な状況を突破し、最後になって味わう達成感でしかないと思う。20代、30代のうちに自分を御する力を身につけてほしい。身につけている人とつけていない人ではその後のキャリアに雲泥の差が出てくる。

ネットワークについての基本的な考え方は先に述べた通りだが、もし学会や勉強会といった「会」のつく組織に入ったら、偉い人のカバンもちや幹事役を積極的に引き受けてみることだ。人間関係が緊密になるし、名前と存在を覚えてもらえるからだ。もちろん、社内でも大いにネットワークを広げ、いざとなったら助けてくれる味方をたくさんつくっておいたほうがいい。

人間関係をつくるのが苦手だと言う人がいるが、こう考えてはどうだろう。人間関係というのは「好き」「嫌い」「関心がない」の3つしかない。このうち「関心がない」が一番いかんともし難い。好きも嫌いも、ベクトルの向きは違っても、「関心がある」という意味では同じなのだ。そう考えると、「嫌い」というマイナス感情も符号が変われば「好き」に変わる。私は営業をやっていた頃にこの話を先輩から聞き、「押しても引いても駄目な人は怒らせてしまえばいいんだ」と腑に落ちた経験がある。

その人は、いっこうに関心を示さないお客様のところにも足繁く通い、必ず名刺を置いてくるので有名だった。ある企業で、渡した名刺がとうとう100枚になった頃、先方が「取引したい」と言ってくれたそうだ。彼は名刺100枚で「関心がない」を「好き(=取引する)」に変えたわけだ。

そうやって勉強に仕事に勤しんでいるとお金や時間はすぐなくなる。それでいいのだ。若い頃から貯金が山ほどあるような人は、使うべきお金を自分に投資していないのではないか、と将来が逆に心配になる。