リスクは未知の領域から、いきなり表面化する
あなたがリスクとうまくつきあっていくためには、未知の情報に対する感性を磨くことが何より大切です。
情報には「既知」、「無知」、「未知」の3つの領域があります。「既知」は、すでに知っている情報です。私たちは社会に存在するリスクを把握しているつもりでいますが、全体からみると既知の領域はごくわずかに過ぎません。
一方、それについて知らないことを知っている情報が「無知」です。予定どおりにいかない要因があることは把握しているが、どのようなインパクトを持ち、どのような確率で顕在化するのかがわからない状況にあるとき、その情報は無知となります。
一般的に、リスクマネジメントは無知の情報を既知として対応するコトだと考えられています。しかし、私たちにとって本当に大切なのは、知らないことすら知らない領域、つまり「未知」の情報の把握です。
未知の領域は広く、リスクはこの領域からいきなり表面化します。じつはリスクマネジメントの難しさも、その点に起因しています。既知や無知の領域は、知性によって把握することが可能です。しかし、多くのリスクが潜む未知の領域を、知性でとらえることはできません。知らないことすら知らないのだから、まさに知性の対象外です。
未知のリスクは感性で察知するしかないのに、私たちは知性を磨くことでリスクをマネジメントしようとします。しかし、知性だけでは不十分です。リスクを上手にマネジメントするには、知性を磨く一方で、感性を研ぎ澄ませる必要があります。