長いタームで仕事をとらえる

私たちは、つねにリスクとともに暮らしています。

リスクというと災害や事件・事故を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、そもそもリスクとは不確実性のことであり、私たちの仕事や生活で予定どおりにいかない可能性のあるコトすべてを指します。

たとえば仕事の成果物が期待した品質に達しないのは、仕事の中に潜んでいた品質リスクが現実のモノになったからです。予算がオーバーするのはコストのリスクが表面化したからであり、納期に間に合わなくなるのは時間のリスクが顕在化したからです。

つまり、私たちは日々、リスクを抱えながら仕事をしたり生活をしています。ハザードは対応するモノであるのに対して、リスクは日常的につきあってコントロールするコトと考えてもらえばわかりやすいでしょう。

リスクの意識が及ぶ範囲は、仕事のタームの長さに比例します。

小さな子どもが歩くときにリスクの意識を働かせるのは、右足を前に出す一歩先の範囲までです。二歩目の左足から先に何が待ち構えているのか、ほとんど意識していません。これは、小さな子どもが歩くときのタスクが一歩単位だからです。