アルツハイマー病も「糖化」による現代病である

脳内のタンパク質が糖化(AGE化)すると、その中に、βアミロイドとかタウタンパク質というタンパク質に変質するものが多く出てきます。立体構造に変質したβアミロイドやタウタンパク質は、脳組織に沈着しやすく、老人斑と呼ばれるごみの塊のような斑点を作ります。

このごみの塊のようなタンパク質が、脳神経の変性を引き起こします。特に、記憶に関わる海馬から脳萎縮が始まり、アルツハイマー型認知症を引き起こしていくのです。さらに徐々に脳全体の神経細胞が死滅して、委縮が広がっていきます。この際に神経細胞の中ではカルシウムの異常増加が起きてもいます。

さらに、「糖化」が血管や内臓に影響を与えることも多いのです。糖化により、血管の組織がもろくなり、血管壁の炎症が起こります。この炎症は動脈硬化を引き起こし、これが心筋梗塞や脳梗塞などの疾患に連なるのです。

また腎臓は、体内を巡り老廃物を含んだ血液をろ過して尿を作ります。身体の中の腎臓は血液をろ過して老廃物を除去して尿として排出します。この際のろ過膜はタンパク質でできています。

血管や内臓の病気を引き起こし、たるみやしわの原因にもなる

このタンパク質が糖化すると、ろ過膜の機能が失われるのです。つまり、老廃物をろ過する機能もなくなり、血液中のタンパク質が尿内に漏れ出てしまいます。タンパク尿が起きるのです。

そのほか、糖化は骨にも作用して、骨粗鬆症を起こすこともあります。

繰り返しますが、眼科の症状としては、糖化により白内障が起きやすくなります。さらに眼疾患では他に、血管閉塞へいそくなどによる出血や網膜症、さらにはマイボーム腺(瞼のまつげの生え際よりやや内側にある、油分を分泌する器官。涙の成分に油を加えることで、涙の蒸発を防ぐ働きがある)の機能不全を起こし、ドライアイにもつながるのです。

機械で目の検査をする人
写真=iStock.com/FG Trade
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また、コラーゲンに糖化が起きると、関節の可動域が制限されて柔軟性が失われます。皮膚も弾力を失い、たるみやしわの原因になりますし、シミの原因にもなるのです。

糖化は歯の周辺でも、炎症を起こす歯周病を起こしやすくなります。糖化は筋力も落としますし、免疫系の機能障害をきたし風邪なども引きやすくなります。糖化というのは本当に怖いのです。