その実態は保険よりも投資に近い

さらに、保険会社はこのように多くの手当を支払うとともに、自社の社員の給与、オフィスの賃貸料、宣伝費などを保険料に含める必要がある。そういうわけで、原価1万円の保険の場合、その保険料は多い場合は月に4万円以上にもなる。

これはちょうど、原価が飲食店の原材料費のようになったと考えればいいだろう。お金持ちなら毎食のように外食できるだろうが、保険に入るのは自分の資産が心配だから保険に頼るような人たちだ。毎日3食を外食するようなぜいたくはできない。

だが、問題はこれで終わりではない。保険会社は保険の名でさまざまな金融商品をも扱っている。これらの商品は、じつは保険というよりも、保険会社で扱っているような商品を保険に見せかけて、顧客のお金で投資をするものだ。

保険に貯蓄や年金が付帯している商品はすべて同じだ。

保険商品にはVIP、スマート、安心、ファースト、一生のような単語が頭についているが、これは私にはこう聞こえる。

「我々はスマートに、一生、何よりも我々のことを第一に考え、顧客をVIPのようにもてなすふりをするので、安心せよ」

韓国ではこれらの商品の予定利率は2.5%ほどになっているが、10年間の利益率が20%を超えるものはほとんどない。

保険会社が「終身保険」を積極的に勧めるワケ

貯蓄性保険は加入してから7年間は、代理店のインセンティブなどの経費を差し引いた金額だけが投資されるので、保険料全体を基準に見ると、予定利率と実際の利益率に大きな差が出るのだ。したがって元本をベースに見れば、加入後5~6年まではほとんど赤字になる。

特にテレビコマーシャルでよく見る終身保険は、保険会社にとっていちばんうまみの大きい商品だ。加入者は一生涯、保険料を支払わねばならないが、保険料が高額なので、5~7年ほどのあいだに7割の人が解約し、元本割れしてしまう。保険会社のほうは解約による利益がかなりあるため、最も積極的に販売を奨励し、代理店の手当も高い。

生命保険は、あなたがいま家族を養う必要があり、収入のすべてが給与所得であれば、加入すべきだ。

しかし、給与とは別に資産所得があるなら必要ない。自動車保険は強制保険だけでもかまわない。アメリカの一部の州では、10万ドルのデポジットさえあれば、別途に任意保険に加入しなくてもよい。

私は保険無用論者だ。

原価1万円の商品をわざわざ4万円で購入したり、低い運用益のために貯蓄性の保険に投資したりする理由はまったくない。原価と販売価格のあいだに、あまりにも大きな差があるからだ。