売却益と売却損の相殺ができない

まず1つ目の死角は、新NISAでは損益通算ができないことです。

すなわち、新NISA口座で売却損が出た場合、それは他の課税口座(一般口座や特定口座)での売却益や配当金などの収益からは差し引けないのです。

たとえば、新NISA以外の口座(課税口座)で10万円の売却損が出た場合、それは、他の課税口座で10万円の収益があれば、そこから差し引くことができます。

その場合、収益は差し引きゼロとなり、10万円の収益には税金はかかりません。

しかし、新NISAではそれができないので、他の課税口座での10万円の収益には、きっちり税金(約2万円)がかかってくるのです。

新NISAでは、その強烈な非課税メリットがよくアピールされますが、そのメリットはあくまでも「儲かった場合」であって、「損をした場合」には、〔新NISA以外の口座(課税口座)に比べて〕不利になる可能性があるのです。

なお、この「損益通算ができない」は、従来のNISAからのデメリットなので、もともとNISAを利用していた人は十分理解されているかもしれませんが、今年からNISAを始めた(新NISAから始めた)人は要注意なのです。

毎月分配型などには投資できない

2つ目の死角は、新NISAでは、「毎月分配型」投資信託には投資できないことです。

毎月分配型とは、収益分配金を毎月受け取れるタイプの商品で、非常に根強い人気を誇ります。

複利運用が効かないので運用効率が悪い、手数料が高いものが多い、などの批判も多いのですが、定期的に分配金を受け取りたいというニーズを的確に捉えた商品です。

たしかに、長期的に資産を増やしたい人には向いていないのですが、資産を取り崩すステージに入っている人などにとっては、十分に選択肢の一つとなり得る商品と言えるでしょう。

しかし、新NISAでは、そんな毎月分配型には投資できないのです。

投資対象が「長期の積立・分散投資に適した商品」に限られている「つみたて投資枠」では、運用効率が悪い(長期運用には向いていない)毎月分配型は対象外であることには納得できるかもしれません。

しかし、株式・投資信託・ETF・J-REITなど、幅広い商品に投資できることが「売り」とされている「成長投資枠」でも、この毎月分配型は対象外なのです。

家族四人で楽しくノートパソコンに向かっている
写真=iStock.com/monzenmachi
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