「中学受験業者特有のポジショントーク」「嘘つくな」

話が少しれてしまいましたが、わたしのXの発信でもこれらの「中学受験アカウント」から反対意見、批判が寄せられることがたまにあります。

「あなたの話はわたしの娘には当てはまらないので、嘘をかないでほしい」
「あなたが語っていることは中学受験業者特有のポジショントークだから、子育てをしている親には響かない」

そういえば、わたしの執筆した記事がヤフーニュースに転載されるたびに、その記事内容に対してさまざまなコメントが書き込まれます(いわゆる「ヤフコメ」というもの)。そこにはかなり辛辣しんらつ、乱暴なことばが多々見られます。

わたしは中学受験の世界にたずさわって今年で三〇年目を迎えます。大手塾にも過去一三年間所属していたこともあり、いままで指導してきた子どもたち、やり取りをしてきたご家庭は相当な数に上ります。また、わたしはさまざまな書籍、記事を執筆する上で、教育関係者や中高一貫校への取材を数多くこなしていて、中学受験の裏表について同業者の中でも把握している部類に入るでしょう。

そのような実体験を積んできたにもかかわらず、「あなたの言うことは間違っている」といったことばを中学受験生の保護者たちから頻繁に浴びせられるのです。もちろん、ひとつはわたしの至らなさに起因するのでしょうが、どうもそれだけではないようです。わたしが一目置いている同業者の方々も同じような目に遭っているのです。

これは一体どういうことでしょうか。

中学受験生の保護者の大半はかつて自身が中学受験や高校受験の「受験生」としての経験を有していて、科目学習に当時専心してきたはずです。また、どのご家庭も不安を抱きつつ、独自のプライドや信念のもと子育てしているという自負があるのでしょう。

言い換えれば、中学受験は、大人の誰しもが「一家言」を持ちやすい世界なのです。

そして、昨今の中学受験の風潮として、「保護者がわが子の勉強面にタッチする」事例を見聞きするようになりました。つまり、保護者が「塾講師」、家庭が「中学受験塾」の役割果たすケースが見られるのです。中学受験について違和感を覚える発言をSNSや記事で目にしたときに、保護者がそれらに異論・反論をぶつけたくなる土壌が出来上がっているのです。