「コカ・コーラ」と「ファミチキ」のセット販促
23年4月25日~5月8日には、タッチポイントとなるメディアを連動させた売り場連動企画(キャンペーン)の第2弾も実施した。日本コカ・コーラの「コカ・コーラ」ブランド(コカ・コーラ、コカ・コーラ ゼロ、コカ・コーラプラス)の飲料とファミリーマートの「ファミチキ」のセット販売プロモーションだ。
コーラ3種のいずれかとファミチキを同時に購買した場合、100円を割り引く。第1弾からさらに商品訴求力を高めるべく、第2弾ではファミペイアプリ内のバナー広告とも連動させ、マーケティングを展開した。
その結果、キャンペーン期間中はファミチキとコカ・コーラの併買率が、施策前と比較すると全店ベースで約6~7倍になった。また、デジタルサイネージ未設置店に比べて設置店のほうが、ファミチキとコカ・コーラ3種の売り上げが18%増えた。
さらに、店頭の販促施策、ファミペイアプリ内のバナー広告、デジタルサイネージの接触状況別で購買件数の上昇率を検証したところ、3つのタッチポイントのすべてに接触したグループの購買件数の上昇率が、どれにも接触しなかった顧客のグループと比べて268%と最も高い数値を示した。
店頭の販促施策、デジタルサイネージ、アプリを連動させることで、「より効果的に商品訴求力を高めることが実証された」と国立氏は話す。
5つの「顧客との接点」をフル活用する
今後も、リテールメディアの効果を検証するため、ファミマは売り場連動企画(キャンペーン)を毎月のように連打していく計画だ。23年夏に実施するという第3弾以降は、店頭の販促施策、デジタルサイネージ、ファミペイアプリ内のバナー広告に加え、「YouTubeやLINE、スマートニュースといったデジタルメディアへ出稿するデジタル広告」と「FacebookやInstagramなどのSNS(交流サイト)」も連動させ、購買へとつなげる効果が高まるかを検証する。加えて、来店前や来店中の顧客だけでなく、来店後の顧客にも働きかけて再来店を促し、購買を積み増せるかどうかも検証していく考えだ。
「従来のマーケティングファネル(見込み客から成約へと徐々に人数が絞り込まれていくこと)の考え方は『認知』から始まって『購入』がゴールだった。これに対して私たちは、店頭の販促施策やサイネージ、アプリ、デジタル広告、SNSといった5つの“顧客との接点”、つまりタッチポイントをまずはフル活用し、購入前はもちろん購入後も顧客に働きかけて、再度の購買やクロスセルによる売り上げの向上、そして顧客のロイヤルティー化も狙っていく」と国立氏は語る。
「私たちが進めるリテールメディア戦略の根底にあるのは、店舗の再定義。店舗を再定義し、デジタルを取り込み、顧客といつでもどこでもつながることのできる『カスタマーリンクプラットフォーム』として構築していく」と細見社長は意欲的だ。