「自分に自信をもつことは悪いことじゃない」

昨年は、(旧)ジャニーズ事務所をはじめ、歌舞伎界、宝塚歌劇団、といった芸能の世界のスキャンダルが続出した。

その年の瀬に、吉本興業を代表する松本人志の醜聞が報じられたのは、あまりにも出来すぎている。だからといって、旧態依然としたシステムが限界を迎え、変わらなければならない、そんな通り一遍のコメントでまとめるのは、安易すぎる。

ひとりの芸能人をめぐって、これだけ盛り上がれるのは、お笑い芸人が、社会のなかで重要な存在として認められている証拠にほかならない。松本人志の「オレの笑い」を、理解しているかどうかはともかくとして、膨大な数の人たちが知っている証しなのである。

どのような真相であろうとも、一方的に誰かをバッシングするのは言語道断であり、絶対に容認されない。節度を保ちながら、その節度とは何なのかも含めて、広く語る。それこそが、松本人志が30年前に書いた、「自分に自信をもつことは悪いことじゃないということ」ではないか。

「親や家族を養っていく本業である仕事に自信」があるのなら、他人を過度に叩かないからである。

このように書いてきた私が彼を擁護している、そうとられるとしたら、それもやはり、松本人志をめぐる語りが止まない、この社会のありさまをあらわしている。

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