忙しい毎日の中でどのように本を読むか
なぜ、そのようなことをするのかと言えば、これは先にも述べましたが、「人生の時間には限りがあるから」です。
人生の時間が無限にあるのであれば、一字一句読んでもよいと思いますし、私でもそうするかもしれません(時間が無限にあったら生きる意味自体を失ってしまうかもしれないという哲学的な議論は別にすればですが……)。いずれにしても、そのような読み方をしていると、忙しい毎日の中でなかなか本を読む時間はつくれません。
会話をするとき、私たちは誰でも、自分なりにあたりをつけて話しているはずです。会話のやりとりのすべてを全力で行う人はまずいないでしょう。たいていの場合、人の話というのは半分くらいしか聞いていないものです。それでも、「この人は何を言いたいのか?」のあたりをつけながら情報を取捨選択し、うまくコミュニケーションを成り立たせているのです。ケイト・マーフィの『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』(日経BP)で指摘されているように、現代人は「聞く」ことが十分にできていないという問題はあるのですが。
これは、読書は著者との対話だということにも通じますが、本についても「この著者は何を言いたいのか?」のあたりをつけることを意識すると、もっと効率的に読めるようになると思います。
Amazonのレビューも活用する
いまの私の読書は、電子書籍でノンフィクションを読むことがほとんどです。小説や詩集などは、装丁や文字のレイアウトの美しさなどがとても重要なので紙の書籍を購入しますが、ノンフィクションについては情報としてとらえているので、気になったものはすぐにAmazonのKindleで購入して読みます。
一冊の本を読んでいるあいだに、その中で引用された別の本が気になったら、それもすぐに購入します。
Amazonのページには出版社による短い解説と作者紹介があるのでそれを読みますし、レビューも大いに活用します。もちろん、レビューにはかなり無責任な内容のものもあって玉石混淆ですから、注意が必要です。私の『読書大全』についても、「こんな恥ずかしいタイトルをよくつけられたものだ。こんな本は買う気もないし、読もうとも思わない」という星ひとつのレビューがありました。内容を読まないで、タイトルが気に食わないから星ひとつといわれても参考になりません。
でも、トップレビュアーや招待制プログラムAmazon Vineメンバーのレビューの中にはよく書けているものもたくさんあります。とりわけ、難解な本の場合には、信頼できるレビューを読むことで本の骨格をつかめることもあります。