「異次元の少子化対策」があまりに的外れな理由

未婚人口が多いということはそれだけ全国から若者を流入させているということであり、なぜ若者が流入するかといえば、給料の高い仕事があるからです。もちろん、東京に来れば全員が高収入になれるわけではありませんが、地元の地方にいるよりは確率があがることでしょう。

結果的に、今や経済的に余裕のある収入を獲得できた若者だけが、結婚をし、出産をし、子育て世帯になっているだけ、というのが現実の姿です。

政府の「異次元の少子化対策」が根本的に的外れなのは、結婚した夫婦が出生をしないのではなく、そもそもその前段階として結婚する若者が減っているということを完全に無視しているからです。

もっといえば、結婚する若者が減っているのは、若者の経済環境が30年間も全然改善されないからです。子育て支援は否定しませんが、少子化対策という新たな出生増を図るのであれば、この結婚したくてもできない若者の経済環境の改善こそが第一優先課題になるべきです。

次は「出生地ガチャ」という言葉が生まれるのか

1990年代後半から2000年代前半にかけて、本当は第3次ベビーブームが来るはずでした。それが、来なかったのは、ひとえに就職氷河期の真っ只中で、20代の若者の経済環境が悪化したことによります。20年前の若者の支援を無視したばかりに、20年後の生涯未婚率は過去最高記録を打ち立てることになりました。その20年前の失敗をまた繰り返そうとしているのでしょうか。

親が1000万円以上の収入を持つ子どもの数は、8大都市で約80万人、それ以外では約30万人です。ある程度裕福な家の子の比率は、大都市だけで73%を占めるといういびつな分布になってしまっています。

親の所得の違いに加え、出生地の場所の違いで、子どもの置かれた経済環境の格差が大きく広がっていることになります。このままいくと「親ガチャ」だけではなく「出生地ガチャ」と言われるようになるかもしれません。一体、20年後はどうなってしまうのでしょうか?

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