つまんない作品にこの俳優を呼ぶなよ

4位 一ノ瀬ワタル 42点

角界の因習と常識をぶっ壊しまくった怪演

角界の問題児をのびやかに演じ、体づくりなどの努力も含めて、「サンクチュアリ」(Netflix)でのワタルの怪演をきっちり評価しておきたい。

アスリートは清く正しく逞しく描かれがちだが、主人公は金に釣られて角界入りしたごんたくれ。ワタルがこなした2つのタスクは、「自然体でごんたくれを演じること」と「精神と肉体の変化をリアルに体現すること」だ。本気度の高いキャスティング、日本相撲協会に媚びへつらわず、エンタメの質を追求した制作陣にも拍手喝采だ。

ベスト3の前に、2023年ドラマ全体を見渡してみる。旧ジャニーズ帝国による忖度そんたくキャスティングが多くて辟易したが、来年は変わるね。配信や実写映画に軸を移していた20~30代の俳優たちが地上波に戻ってほしいなとも思う。

個人的な趣味で言えば、地上波ドラマで「ケント」が不足していたような。林遣都、賀来賢人、山﨑賢人、永山……あ、このケントはさておき、ケント起用の検討を各局に期待する次第。つまんない作品には呼ぶなよ。さて、戻ろう。

こういう人が作品の土台を築いている

3位 北村有起哉 42点

職業・役者の日常を手練れの役者が演じる妙

42点は同点で4人いたが、やはり上位にすべきは「たそがれ優作」(BSテレ東)の北村かと。

主人公・北見優作はチンピラ役も殺される役も、オファーがあればとにかく受ける。

ミュージシャン役のために歌もギターも短時間で猛特訓したものの、主役がゴネて撮影中断などの憂き目にも遭う。団地に一人住まいのバツイチで、女性に肩透かしをくらっては行きつけのバーで黄昏れるのが日課。

華やかに見えて意外と地味で地道な役者の日常を北村が体現。ドラマや映画の裏側がリアルに感じられたのも、気配とオーラを消せる北村のおかげだ。スポットライトを浴びない役者が作品の土台を築いている、ということを改めて教えてくれた。