ジャスティン・ビーバーの「泣き顔のサル」は、95%の大暴落
ジャスティン・ビーバーはこのうち、3001番を2022年1月に購入。切ない表情のサルが目に涙を湛える作品だ。
当時130万ドル(当時のレートで1億5000万円)以上の価値があったが、NFT取引分析サイトのOpenSeaによると、現在寄せられている買い付けオファーは最大でも約5万8000ドル(現在のレートで830万円)に留まる。ドル換算で約94.5%の下落率だ。苦悶の表情で両目を潤ませるサルは、所有者の悲哀を象徴するかのようでもある。
サッカー選手のネイマールJrは2022年1月、ボアード・エイプのバリエーション違いである5269番を約49万6000ドルで購入した。現在の最大オファー額は7万7000ドル台で、購入時から約85%の下落率となっている。
マドンナは2022年3月、ボアード・エイプの4988番を約46万6000ドルで購入。驚いた表情のサルの身体に多数の目が描かれたこの奇抜な作品は、現在6万1896ドルが最高オファー額となっている。85%以上の価値が失われた。
最も損失の少ないマドンナの事例でも、購入からわずか2年足らずで約40万ドル(約5600万円)の巨額の含み損を出した計算だ。投機対象としてもてはやされたNFTの恐ろしさを物語る。
3億円超の値が付いた「世界初のTwitter投稿」、現在はいくら?
NFTブームの中心となったのはデジタルアートだが、なかには希少性を話題が先行した例もある。それまで別段価値が注目されていなかったものにさえ、将来の価格高騰を見込んだ購入者が殺到。破格の値段で取引された。
米デジタルメディアのVICEは、Twitter(現X)上に残る史上初のツイートの取引事例を報じている。ツイートはTwitter社のジャック・ドーシーCEO(当時)によるもので、「just setting up my twttr(自分のTwitterアカウントを設定しているところ)」との短文だ。
このツイートの“所有者”となれるNFTが2021年3月、230万ポンド(落札時、約3億円)という高値で取引された。歴史的な投稿とはいえ、ドーシー氏のアカウントを自在に使用できるわけでもなく、この1点の投稿を所有しているという認識を得られるにすぎない。わずか24文字のつぶやきに、常識を超える値付けだ。
VICEによると評価額は現在、1200ポンド(21万6000円)程度とされる。適正な価格に落ち着いた印象だが、価値は当時の0.0052%にまで暴落した。