韓国の経済成長を支えた日本の巨額の支援

この協定でも、日韓基本条約でも、日本が朝鮮半島に対する不法な植民地支配を認めていないにもかかわらず、それでもいいとして韓国側は、協定と条約を結んだ。そして、1080億円の経済援助と108億円の借款を得た。経済援助だけでも当時の韓国の国家予算に匹敵する巨額の支援で、「漢江の奇跡」と呼ばれる韓国経済の急成長の原資となったことはよく知られている。

なお、文中にサンフランシスコ条約への言及があるが、実は、この条約のなかにも、日本が韓国(及び北朝鮮)に対して、莫大な日本の国家・民間の資産を無償で渡すことになった、条項がある。それは第4条の(b)項だ。

第4条(b) 日本国は、第2条及び第3条に掲げる地域のいずれかにある合衆国軍政府により、又はその指令に従つて行われた日本国及びその国民の財産の処理の効力を承認する。

第2条の地域とは日本が放棄することになった、朝鮮半島、台湾、澎湖島、千島列島、南樺太で、第3条の地域とはアメリカの統治のもとに置かれた沖縄など南西諸島である。この条項は、この地域でアメリカ軍政府が行った日本・日本国民の財産の処理を日本が承認するとしている。

朝鮮半島にフォーカスを絞っていえば、朝鮮半島に日本・日本国民が所有していた財産は、占領中にアメリカ軍政府が韓国・韓国人に与えてしまっていたのだが、それを事後承認しろということだ。

国際社会に復帰するため理不尽な要求を呑んだ

とくに私有財産は戦争などによっても奪われない、不可侵であることがハーグ平和会議(1907年)などで確認されている。したがって、アメリカ軍政府が行ったことは国際法違反である。だから、サンフランシスコ条約で、日本に承認させなければならなかった。そのままにすれば日本・日本人に返還しなければならなくなるからだ。

返還すれば、その財産の所有者である日本人は恒久的に朝鮮半島に住み続ける。在日朝鮮人の逆の在朝日本人が何百万人も残ってしまうことになる。これではカイロ宣言にうたった朝鮮半島の完全独立はない。

日本にとっては理不尽きわまりない条項だが、日本はこの条約を結ばない限り国際社会に復帰できないので、やむを得ずこれを呑んでいる。

要するに、日本は想像を絶するほど莫大な資産(「帰属財産」という)を韓国・韓国人に、1965年以前に与えていたのだ。日韓請求権協定の1080億円と108億円は、これに加えて2重に支払ったということだ。

植民地支配を認めたわけでもないのに、これだけ払っている。これでもソウル高裁はまだ賠償金を払えというのである。