慰安婦は合意契約の下、高給を得ていた
さて、ここまでは、すべて日本軍が朝鮮人慰安婦に対して不法行為をした前提で交渉がなされている。つまり、日本軍が20万人以上の朝鮮人女性を強制連行して慰安所に監禁し、性奴隷にしたという前提だ。
ソウル高裁の判決も、日本軍による朝鮮人女性に対する不法行為があった、それに国家免除は適用できないので、賠償せよと命じている。
では、この前提は正しいのか。そもそも日本軍による慰安婦に対する不法行為はあったのか、賠償金を支払わなければならない被害を与えたのか。結論から言えば答えはノーだ。
ハーバード大学法学院マーク・ラムザイヤー教授は論文「太平洋戦争における性契約」(2020年、『慰安婦はみな合意契約していた』所蔵)のなかで、慰安婦(日本人のほか当時日本の統治下にあった朝鮮人と台湾人を含む)が合意契約をしており、しかも公娼よりもはるかに高給取りだったことを明らかにした。
要するに、強制連行も性奴隷も嘘で、慰安婦は当時合法だった性産業の従業員で、契約もしており、待遇もかなり良かったということだ。
彼女たちが「強制連行された」と話した理由
『慰安婦はみな合意契約をしていた』(北天社)で使用した歴史資料をもとに、これに筆者なりの解説を加えると次のようになる。
日本軍は性病と強姦を防止するために1932年から「慰安所」(ほかにもいろいろな名称がある)を設置し、慰安婦の募集を始めた。
慰安婦になるためには、親権者と一緒に警察署へ行き、戸籍謄本、承諾書(慰安婦になる)、調査書(どのような理由で慰安婦になるのか)契約書(抱主との)を提出し、営業許可書をもらわなければならなかった。
これと契約書を見せなければ、海外にある軍の駐屯地に行くための渡航許可証ももらえなかった。たしかに、人集めの段階で、現地の周旋人が甘言を弄することはよくあった。どんな仕事かははっきりいわず、外国へ行って大金がもらえるとだけ強調した。だが、そのあとは、親と一緒に警察署へ行って、前述の手続きをしなければならなかった。
朝鮮人慰安婦の多くは、「親に売られた」と思っていて、そのことがトラウマになっていた。だから、そうは言えず、挺身協(現正義連)にコントロールされていたこともあって、日本軍に強制連行されたと言うようになったのだ。彼女たちの証言が変遷していることは、秦郁彦氏も『慰安婦と戦場の性』(新潮選書)で指摘している。