学長や高給取りの常務理事は利害関係者

特筆に値するのは執行部がごっそりと理事会に加わっている点だ。日大で執行部を構成しているのは学長1人と副学長3人(副学長は全員で3人)。4人全員が理事になっており、まさに「理事会が理事会をチェックする」という格好になっている。

独立性に問題がある16人の中には4人の常務理事も含めてある。4人のうち3人は学外出身であるものの、副学長と同じ2千万円近い年俸をもらっている。実質的に日大に“就職”しているのであり、独立性を欠いている。

同じ理由で「林理事長は学外出身だから独立性がある」という見方も誤りだ。林氏は大きな権限を与えられているうえに、執行部トップの学長と同じ2400万円の年俸を得ている。企業で言えば最高経営責任者(CEO)の立場にある。

がちがちの利害関係者が理事会を牛耳っているとなれば、チェック・アンド・バランスが効くはずがない。

ガバナンス問題は日大に限らない

ガバナンスが機能不全に陥っているのは日大に限らない。監督と執行が一体化しているという状況は日本の私大全体で常態化している。

結果として「理事長独裁」が横行するケースがたびたび話題になる。企業で言えば「ワンマン社長」の出現だ。

2021年には月刊誌『FACTA』の報道によって東京理科大学の内紛が明るみに出た。当時の本山和夫理事長によるパワハラが原因で学長が任期半ばで辞任し、前代未聞の学長不在という状況が生まれた。

大きなニュースになったのは、東京医科大学を舞台にして2018年に発覚した不正入試事件だ。当時の臼井正彦理事長はチェック役どころか自ら不正に関わり、2022年に贈賄罪で有罪判決を受けた。

国立大学でもガバナンス不全が懸念されている。やはり理事会(役員会)と執行部が一体化し、トップが独走するという弊害が生まれている。

理事長が存在しない国立大では「理事長独裁」ならぬ「学長独裁」という形になる。実際、ルール改定によって長期政権を築く学長が相次いでいる。

筑波大学では学長任期の上限が撤廃され、広島大学では学長任期が2期8年から3期12年へ延長された。この結果、前者では永田恭介学長の任期が2027年3月まで14年間、後者では越智光夫学長の任期が同じく2027年3月までの12年間続く見通しとなった。

大学関係者の間からは「これではロシアのプーチン大統領と同じではないか」といったぼやき声が聞こえてくる。