“立ちんぼ”が並ぶ歌舞伎町の路上はもはや観光地化

1日の中で多い時間帯は、日没から午前0時ごろまでだ。以前なら日付が変わると、その数はぐっと減った。週末であっても、午前1時を過ぎれば、ごった返していた公園の周囲も閑散とするのが常だった。終電が迫れば買う側も減るし、女性たちも、帰る家があれば家路につかなくてはならない。「何時間も立ち続けるのってかなりしんどいから、それくらいが限界でもある」と話す女の子もいた。

それが2023年に入った頃から、午前0時を過ぎても、多くの人が残るようになった。終電がなくなっても、女性たちは当たり前のように路上に立ち続けている。

路上に立つ女性が急増し、大久保公園の周辺はかってない様相を見せ始めた。だが、こうした状況を作り出したのは彼女たちだけではない。むしろ、圧倒的に増えたのは男性の姿だ。

東京・新宿歌舞伎町入り口の赤い看板
写真=iStock.com/Kindamorphic
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路上に立つ女性を遠巻きに見るという男たちの「社会科見学」

以前であれば、この界隈で目にした男性は、1人でやってきた買春目的か、どこかへ通り抜けていく酔客たちのいずれかだった。今は違う。ただたむろしている男性が多い。大学生のような若者もいれば、サラリーマン風の年配もいる。缶ビールやマッコリの瓶を手にしたグループもいる。そこかしこで繰り広げられる会話は騒々しい。彼らは、路上に立つ女性たちを遠巻きに見続けている。

「うわー、これか。めっちゃいるじゃん」
「みんな、立ちんぼっていう子たちなんでしょ」

そんな声が聞こえてくる。女の子たちの立ち姿にスマホのカメラを堂々と向ける人もいた。まるで見物客だ。この1年ほどで、観光地のようになっている。

こうした男たちを、女性たちは「ギャラリー」「やじ馬」と呼び、嫌っている。彼らの目的はいったい何なのか、何人かに聞いてみた。

大学生だという男性は悪びれずに言う。「ユーチューブの動画やネットで話題になっているのを知って見に来たんですよ。やばくないですか? これほとんど売春やってる子たちっすか?」。

別の日には、30代の会社員に話を聞いた。「いや、自分で買うわけじゃないんですけど、社会科見学みたいな? すごいですねこれ。違法ですよね。買う人もいるんですか?」。言うそばから、スマホのカメラを女性たちに向けていた。