明るい家に住み慣れた日本人が、欧米型の住まいの様式を取り入れるにはどうすればいいか。ある建築家は、新しいわが家に引っ越してきた施主一家から暗いから明るくしてほしいという要請があっても、あえてお茶を濁して取り合わないという。編集者の藤山和久さんが書いた『建築家は住まいの何を設計しているのか』より紹介しよう――。

※本稿は、藤山和久『建築家は住まいの何を設計しているのか』(筑摩書房)の一部を再編集したものです。

和室
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畳の上にちゃぶ台を置けば、6畳間はダイニングへ

日本の住宅の照明は、部屋のすみずみまで均一に照らすものが久しく好まれてきた。天井の真ん中に鎮座する巨大なシーリングライトがその象徴である。