3年会わなければ、かつての親友もただの知人
ここから二つの重要な事実が浮かびあがる。ひとつは、時間と努力を惜しめば友情はすぐに薄れるということ。大学に入学する18歳を対象に行なった縦断研究で、それまでの学校時代の友人に対する親近感を測定した。すると継続的に会う努力をまったくしないとわずか数カ月で減りはじめ、12カ月後には平均で約15パーセント減少していた(*13)。
つまり3年会わなければ、かつての親友もただの知人――以前はよく知っていたが、いまではあえて連絡は取らない相手――に格下げということだ。5年後には社会ネットワークの円からこぼれ落ちているだろう。友情は薄れやすく、たえず強化する必要があるのだ。
そしてもうひとつは、相手を助けてあげたい、精神的に、あるいはそれ以外の形で支えてあげたいという意欲は、相手が自分にかける時間で変わってくるということ。それは各同心円にいる人たちの役割も反映している。
中心に最も近い親友は、こちらが人生の危機に直面したら精神的にもそれ以外の面でもすぐに助けてくれるし、見返りも求めない――「泣く肩を貸してくれる」友ということだ。反対にいちばん外側の円の人たちは、多少の情けはかけても、こちらがどん底を脱するまで何カ月も献身的に支えてくれるわけではない。
(*4)Dunbar(1998); Dunbar & Shultz(2017)
(*5)Dunbar(2020)
(*6)Dunbar(2018)
(*7)Dunbar(2018、2020)
(*8)Dunbar(2020)から許諾を得て再掲。
(*9)Russell Hill, Alex Bentley & Robin Dunbar(2008)
(*10)Oliver Curry, Sam Roberts & Robin Dunbar(2013)
(*11)Alistair Sutcliffe et al.(2012)
(*12)自著『なぜ私たちは友だちをつくるのか――進化心理学から考える人類にとって一番重要な関係』(Dunbar 2021)にくわしい。
(*13)Sam Roberts & Robin Dunbar(2015)