こうした手法は過去にも類似のケースがある。

昨年11月、大谷がアンバサダーとなってCM出演もしていた暗号資産(仮想通貨)の大手交換所「FTXトレーディング」が杜撰な経営で破綻した。損害を被った投資家は同社の宣伝に関与したため賠償責任があるとして、大谷や女子テニスの大坂なおみら有名スポーツ選手を相手に集団訴訟に至ったのだ。大谷にとっては初のスキャンダルへと発展しかねない危機だった。

しかしその直後、大谷は今春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への参加をインスタグラムで表明。日本中が大谷のWBC出場決定に沸き、仮想通貨の話題は立ち消えになった。

「大谷の代理人を務めるCAAは大物芸能人も扱う老舗で、あらゆる事態への対処法を持っていますからね。FTXトレーディングの件にしても大谷自身が悪いことをしたわけではないですし、話題を誘導するのは難しいことではなかったでしょう」(同前)

トラウト超えは確実「リスクは少しでも減らしておきたいはず」

MVP発表前に行われた各チームのゼネラルマネジャー(GM)会議で、バレロ氏は会場とは別のホテルで秘密裏に交渉を行っていたとされる。球団の交渉担当者には箝口令を敷き、情報統制を徹底した。

「今回、大谷に会見させなかったのは、交渉の一環でしょう。マイク・トラウト(エンゼルス)の総額4億2650万ドル(当時のレートで約475億円)を超えるメジャー最高額契約になることは確実で、リスクは少しでも減らしておきたいはずです」(同前)

大谷が去就を発表するのは12月上旬のウインターミーティングが1つのメドと見られている。交渉は佳境に入っているもようで、いずれかの球団と合意すれば契約の全貌も明らかになる。そしてその後間もなく、来季所属先での記者会見で、今度こそ待ち望んだ大谷の生きた声が聞かれることになりそうだ。

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