長期的な視点から10年騰落率の高いエリアに注目
マンション情報の「マンションレビュー」を運営するワンノブアカインドでは、定期的に都道府県別に中古マンションの70平方メートル換算価格を調査している。それぞれの都道府県の中古マンション価格水準がどうなっているのかも気になるところだが、注目しておきたいのは、現在の価格だけではなく、1年前、3年前、5年前、10年前との価格騰落率(上昇率)も調べている点だ。
東京都や大阪府、神奈川県などの価格水準が高い都府県は騰落率が高いエリアが多いが、比較的リーズナブルな価格帯の県なのに、騰落率がすこぶる高いところもある。そんな場所にマンションを買っておけば、将来的な資産価値の上昇も期待できるのではないだろうか。
マイホームとして購入するにしても、リゾートとして利用するにしても、投資用に購入して賃貸で運用するにしても、住宅については、短期に使用するのではなく、長期的に保有して使用することが前提になるので、10年前との価格を比較し騰落率の高い都道府県に着目したいところだ。
福井県は北陸新幹線の開業で価格が大幅アップ
そこで、10年前に比べての騰落率の高い都府県をグラフにまとめたのが図表1だ。
騰落率が最も高かったのは福井県の141.1%で、10年前の70平方メートル換算の推定価格が757万円だったのが、2024年3月は1824万円で、上昇率は141.1%となっている。何と、10年間でおよそ2.4倍に資産価値が上昇したことになる。
周知のように、福井県は2024年3月に北陸新幹線の延伸により、金沢・敦賀間が開業、全国的に注目度が高まった。最速だと東京・福井間は2時間51分に。これまでは、東京から新幹線に乗っても、金沢駅で乗換えが必要だったが、それが不要になって所要時間は36分短縮された。
折から、新型コロナウイルス感染症が2類から5類に移行したこともあって、全国的に関心を集めただけではなく、世界的にも注目度が高まり、多くの人が訪れ、なかには福井県の不動産、マンションを購入する人も増えた。それが、大幅な価格アップにつながったわけだ。