1100万円台の和歌山県にも期待高まる

70平方メートル換算価格が山梨県に次いで低いのが和歌山県の1157万円だ。10年前の価格は736万円だったのが、57.2%上がっている。近畿地方にありながらも、この価格帯にとどまっていて、上昇率もそんなに高いわけではないので、今後は1000万円台の後半から2000万円台への突入も期待できるのではないだろうか。

和歌山県の北部は阪神工業地帯に属するものの、大阪府や兵庫県に比べるとさほど工業生産が多いわけではなく、むしろ近年は南部を中心とした豊かな自然への関心が高まっている。

和歌山県は梅、柿、蜜柑などの果樹栽培が知られているが、マグロ、カツオなどの漁業も盛んで、近年では近畿大学水産研究所による「近大マグロ」がブランド化している。豊かな自然のなかで、京都・奈良などの古代文化の影響を受けて、文化も豊か。

世界遺産に登録されている熊野三山、弘法大師由来の高野山などがあり、コロナ禍が明けてインバウンド客が急増している。大阪府や兵庫県などの産業界から離れているデメリットが、ここへきてメリットに転じているのではないだろうか。

このように人の流れが盛んになれば、経済も活性化し、不動産・住宅価格の上昇も期待できる。いまのうちに、先物買いしてもいいかもしれない。

山下 和之(やました・かずゆき)
住宅ジャーナリスト

1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に新聞・雑誌・単行本の取材、執筆、講演、セミナー講師など幅広く活動。著書に『2017-2018年度版 住宅ローン相談ハンドブック』『よくわかる不動産業界』など。