「調湿作用」がある壁にカビが大量発生

「洗濯物を部屋干しするので、壁には調湿効果のある内装材を使ったのに、壁にカビが生えてしまった」(埼玉県 40代女性 会社員)
部屋干ししている洗濯物のイラスト
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共働き家庭が増えて、いまではあたりまえになった洗濯物の「部屋干し」。この「部屋干し」ですが想像以上に大量の水蒸気が部屋内に発生することご存知でしょうか。だいたい5kgの洗濯物で約3リットルの水蒸気が発生すると言われています。そのため、4人家族の場合は、一日の洗濯物の量はおよそ6kgなので、毎日約3.6リットルの水蒸気が部屋に放出していることになります。すごい量ですよね? この水蒸気が湿気の多い梅雨に放出されたら、いくら「調湿作用」をうたっている壁紙やタイルでも限界があるのはお分かりだと思います。

そのため「部屋干し」をする場合は、除湿や換気、またはサーキュレーションなどにより空気を動かすなどの対策をしないと、「調湿作用」をうたっている壁紙やタイルだけでは、壁や床にカビが発生しやすいのです。こういった問題は「建築材料の効果にたいする期待値が大きい」ときに起こります。つまり家を建てる施主は「調湿効果がある=湿度を調整してくれる=カビが生えない」と過度の期待を持ってしまいがちなのです。しかし壁材や床材などの建築材料による「調湿効果」は、換気扇や除湿器ほどの効果はなく、あくまでも補助的な効果にとどまります。

このような失敗を防ぐ方法としては、あらかじめ建材の持つ効果の範囲を商品メーカーや設計者などに確認したり、また過度の期待を抱かないことも大切です。そうすれば、たとえ建材の効果が少なかったとしても、建物を建てた後に大きな不満が残ることも少なくなります。

理想のイメージと実際の仕上がりが全然違った

「玄関ドアは天井までの高いイメージだったのに、はりが出ていた」(東京都 50代男性 会社員)

「インテリア性を高めるためキッチンレンジフードをとってわざわざ壁付の換気扇にしたのに配線が壁にむき出しでかえって見栄えが悪くなった」(神奈川県 40代女性 会社員)

「給気口やエアコンなど建築設備の設置位置が目立つため、おしゃれな部屋のイメージと違った」(千葉県 40代女性 会社員)

「玄関にニッチを作り間接照明を四方に入れたら、ネオンのようになってしまった」(千葉県 40代女性 会社員)

「こんな部屋になると思っていたのに、イメージと違った」という後悔も大変多い失敗の一つです。平面図という記号や文字が書かれた2次元の情報から、完成形である3D立体をイメージしなくてはいけないので、当然ですが施主にとっては難しい作業になります。建築士のほうも平面図にすべての情報を書き込んでいるので、細かい図面の説明を省く傾向があります。

そのため、窓のイメージや天井のイメージ、エアコンや給気口・換気扇・コントローラーなどの設備機器の設置イメージなどが、想像していたものと違うことがたびたび起こるのです。とくにインテリア性にこだわる場合、イメージしている「自分の好きな空間」というものが具体的に建築士に伝わりにくいため、各部屋細かく具体的に希望するイメージを伝えていかないと、後悔する原因になりやすいのです。このような失敗をしないためにも建築士との「イメージの共有」はとても大切になってきます。

間取り図の部屋ごとのイメージ画像
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具体的な方法としては、文章や口で説明するのではなく、図表2のように間取り図の部屋ごとに好きなイメージ画像を用意することです。好きな壁紙や床材・トイレや洗面台などのイメージや、取り入れたい窓のイメージや天井から梁などを出さずスッキリさせたい場所などを整理して、設計者と意見をすり合わせ、細かく打ち合わせをしていくことが大切です。この作業により、バラバラだった家族の意見をより理想に近い形にまとめることもできます。好きなイメージ画像をWEBで集める際に参考にしたいのが「ピンタレスト」や「ルームクリップ」など、あらゆるタイプのインテリア画像が豊富なためおススメです。