40歳以降に転職した人が注意したいこと

いずれの控除も、iDeCoの受け取りと同じ年に同じ方法で会社からの退職金・企業年金や公的年金を受け取ると、それらを合算した受取額から控除を差し引くので、受取額が控除の枠内に収まらずに課税されやすくなります。また、一時金で受け取る場合には同じ年だけでなく、前年以前19年間、ざっくり言えば20年前から前年までに受け取った退職一時金もこの合算の対象になります。もし40歳以降の転職などで退職一時金を受け取っていると、その際の退職所得控除の計算に使った期間(勤続年数)はiDeCoの一時金を受け取る際の計算には使えず、控除の枠が小さくなる可能性があります。

さらに、40歳以降の転職などで退職一時金を受け取ったことがある人は、受け取った際に自宅に届いた「退職所得の源泉徴収票」が必要になります。そこに書かれている情報を、iDeCoで一時金受け取りをする際の手続き書類に記入する必要があるためです。手元にある人はなくさずに保管し、手元にない(所在が分からない)人は元の勤務先に再発行を依頼して入手しておいてください。ない場合は、退職所得控除の適用を受けられなくなるので注意が要ります。

辞表を持つ人の手
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

年金受け取りは確定申告が必須

iDeCoの年金受け取りの場合の留意点は2つあります。1つ目は、受け取った後に確定申告をする必要があることです。年金として受け取る額は、所得税相当額としてあらかじめ7.6575%が源泉徴収された後の金額です。本来は年金額やそれ以外の収入を含めた所得額によって税率は一人ひとり異なるわけですが、それを全員に聞き取って処理するのは現実的ではないので、やや多く徴収した上で、自分で還付の手続きをしてもらう流れとなっています。

確定申告することによって、公的年金等控除を適用した所得税額との過不足を調整することができます。年金が給付された年の12月末に「公的年金等の源泉徴収票」が届くので、これを使って確定申告してください。住民税はあらかじめ源泉徴収されることはなく、他の所得と合わせて翌年の住民税額に反映されます。

2つ目は、収入としてカウントされることで社会保険料が増え、医療や介護の自己負担率への影響が出る可能性もあることです。負担がどれくらい増えるかについて、在職中であれば加入している健康保険組合で、国民健康保険に加入している場合は居住する自治体の国民健康保険担当窓口で、事前に確認しておくことをお勧めします。