発熱や激しい喉の痛みはないのに鼻水が続く原因は何か。産業医の池井佑丞さんは「アレルギーの可能性がある。秋は花粉症やダニアレルギー、いわゆる寒暖差アレルギーなどの症状を訴える人が多い。原因を突き止めるには検査をするのがおすすめだ」という――。
鼻をかむのにティッシュを取るマスク姿の女性
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風邪症状はないのに「くしゃみ・鼻水」がある

秋の気配を感じ、草木も色づく季節となりました。この時期の気温は心地よく、過ごしやすく感じる方も多いと思います。しかし、咳やくしゃみが出て「風邪かな?」と感じてはいらっしゃいませんか。その場合はもしかしたら秋のアレルギーかもしれません。

高熱・激しい喉の痛み・粘り気のある鼻水といった風邪特有の症状がなく、目のかゆみや連続したくしゃみが出る、水のような透明な鼻水が出る場合、風邪ではなくアレルギーの可能性があります。

特に秋は「花粉症」「ダニ(ハウスダスト)」「寒暖差アレルギー」など、一年で最もアレルギー症状を訴える方が多い季節です。今回は秋のアレルギーについてお話をしていきます。

秋の花粉症は気管支の症状を起こしやすい

秋の「花粉症」は、空き地や道端、河川敷などで身近に見られるイネ科の植物や、ヨモギ、ブタクサといったキク科の雑草類が原因となります。飛散時期は8月~10月で、症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまりや目・鼻・喉のかゆみなど、春の花粉症と同様です。

春と秋の花粉症で異なる点は、“花粉の粒子の大きさ”です。春花粉のスギやヒノキといった樹木類花粉は粒子が大きく、鼻粘膜にとどまります。一方、秋花粉のヨモギやブタクサなどの草木類は粒子が細かく、気管支まで入り込んでしまいがちです。そのため、春の花粉症は鼻水やくしゃみが代表的な症状であるのに比べ、秋の花粉症は咳や喘息など気管支の症状を起こしやすいという特徴があります。

風邪と花粉症では「くしゃみ・鼻水」が違う

では、風邪と花粉症はどのように見分ければ良いのでしょうか。

風邪の場合、くしゃみが出るタイミングは冷たい空気を吸い込んだときなどで、連続して出ることはまれです。鼻水は黄色っぽく、ねばり気があります。また、喉が赤くなり、痛みや咳、痰が出たり、高熱・悪寒を感じたりと、全身症状に悩まされることもしばしばですが、通常数日程度で治ります。

一方花粉症の場合、花粉が鼻の中に入るとすぐに、連続してくしゃみが出ます。家から外に出て数分以内にくしゃみを連発する場合は花粉症が濃厚です。鼻水は水のようにさらさらして透明です。目のかゆみや充血などのアレルギー性結膜炎の症状や、喉のイガイガ感、咽頭異常も出ることがあります。発熱するケースはまれで、発熱してもごく微熱です。これらの症状が2週間以上続く場合は、花粉症を疑いましょう。かかりつけの医師にご相談ください。