新NISAをフル活用して年金を運用

65歳〜75歳未満の年金手取りは161万円3407円、75歳以上の年金手取りは162万5277円となります。約10%は税金・社会保険料で控除されることになります。

株式・投資信託の運用益(値上がり益、配当金、分配金)にかかる税金は20.315%です。

仮に100万円の運用益が実現した場合は、所得税・住民税合わせて20万3150円を納めなければなりません。ただし、NISAであれば、この税金は一切かかりません。

ところで、60歳で年金を受け取り投資に回すのであれば、運用リスクなしで得られる「繰り下げによる増額分」を超えなければ意味がありません。

このとき、年金の税金・社会保険料を控除した手取りで考えること、運用益の税金の有無(課税口座かNISA口座かどうか)を考慮する必要があります。

新NISAは年間360万円まで投資可能で、一人あたりの投資上限額が1800万円ですので、本制度を活用しての比較は妥当です。

タブレット端末を見て笑顔を浮かべるシニア女性
写真=iStock.com/show999
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65歳時点の年金額は月15万円で試算

「60歳受給&新NISA投資vs70歳繰り下げ受給」を計算するにあたって、まずは前提条件を整理しておきます。

前提条件
① 年金の手取り計算は、東京都文京区在住・65歳以上・独身・扶養親族無し、所得控除は基礎控除・社会保険料控除のみで試算する

② 65歳時点の年金額は年180万円(月額15万円)

③ 何歳まで生きるかで計算結果が変わるため、寿命90歳とする

④ 運用期間は90歳までとするが、投資時期は70歳まで。70歳以降は年金は投資に回さず、受け取りながら、運用資産は運用しながら取り崩し。運用期間中の運用利率は一定とする

⑤ 年金の繰り下げは「70歳受給」と比較する

⑥ 運用益には20.315%の税金がかかるが、2024年からの新NISAを活用する